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麻生氏の発言―立憲主義への無理解だ

憲法改正論議にからみ、ナチスを引き合いに出した麻生財務相の発言が波紋を広げている。麻生氏はきのう、「誤解を招く結果となった」と発言を撤回した。だが、明確に謝罪はしていな[記事全文]

美白化粧品―「灰色情報」を見逃すな

1件の情報の陰に、3千件近いトラブルが潜んでいた計算になる。カネボウ化粧品の自主回収問題の教訓はそこにある。美白化粧品を使って肌がまだらに白くなった人が3人いる。端緒は[記事全文]

麻生氏の発言―立憲主義への無理解だ

 憲法改正論議にからみ、ナチスを引き合いに出した麻生財務相の発言が波紋を広げている。

 麻生氏はきのう、「誤解を招く結果となった」と発言を撤回した。だが、明確に謝罪はしていないし、発言の核心部分の説明は避けたままである。

 欧米では、ナチスを肯定するような閣僚の発言は即刻、進退問題につながる。麻生氏は首相や外相を歴任し、いまは副総理を兼ねる安倍政権の重鎮だ。その発言によって、侵略や大虐殺の歴史を忘れず、乗り越えようとしてきた人たちを傷つけ、これに対する日本人の姿勢について大きな誤解を世界に与えた責任は、極めて大きい。

 麻生氏は先月29日のシンポジウムで、日本の憲法改正論議を「狂騒の中でやってほしくない」としたうえで、以下のように述べた。

 「ある日気づいたら、ワイマール憲法がナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね」

 普通に聞けば、ナチスの手法に学ぶべきだと言っているとしか受け止められない。事実認識にも問題がある。

 ヒトラーは巧みな演説で国民を扇動し、まさに狂騒の中で台頭した。首相に就任すると、国会の同意なしに法律をつくる権限を政府に認める全権委任法を制定。これでワイマール憲法は実質的に停止されたが、「ナチス憲法」なるものができたわけではない。

 いずれにせよ、だれも気づかないうちに憲法が変えられることなど、絶対にあってはならない。ましてやヒトラーを引き合いに出し、その手法を是と思わせるような麻生氏の発言は、撤回ですむものではない。

 当時のドイツでは、ワイマール憲法に定める大統領緊急令の乱発が議会の無力化とナチスの独裁を招き、数々の惨禍につながった。こうした立憲主義の骨抜きの歴史を理解していれば、憲法論でナチスを軽々しく引き合いに出すことなど、できるはずがない。

 自民党は憲法改正草案をまとめ、実現に動こうとしている。だが議論にあたっては、歴史や立憲主義への正しい認識を土台にすることが大前提だ。

 安倍首相は、「ナチスの手法に学べ」と言わんばかりの今回の発言を、どう整理するのか。前言撤回で幕引きをはかるのではなく、きちんとけじめをつけなければ、まともな憲法論議に進めるとは思えない。

 これは、安倍首相の認識が問われる問題である。

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美白化粧品―「灰色情報」を見逃すな

 1件の情報の陰に、3千件近いトラブルが潜んでいた計算になる。カネボウ化粧品の自主回収問題の教訓はそこにある。

 美白化粧品を使って肌がまだらに白くなった人が3人いる。端緒は、医師から寄せられたそんな情報だった。

 さかのぼって調べると、それ以前の2年間に店頭や電話窓口で、33人から同じような相談を受けていたことがわかった。

 自主回収を発表すると、届け出は8600人にふくらんだ。台湾でも被害が判明した。

 33人の情報が寄せられる間のどこかの時点で調査を始めていれば、ここまでの被害拡大は防げたはずだ。

 では、どうすれば気づけたのか。少しでも心配のある情報は必ず追跡調査する。それしかなかったようにみえる。

 カネボウは先進的とされる顧客対応システムを使っていた。電話窓口や店頭に寄せられた相談を入力すると、社内の各部門に情報が共有される。それでも危険信号を見逃した。

 相談者33人のうち12人は医師の診察を受けていた。だが、いずれも体質で生じる白斑との診断だったため、担当者は対応不要の「相談」に分類していた。カネボウはそう説明する。

 同社は、今回のような相談はすべてチェックの必要な「肌トラブル」に分類するなどの再発防止策を検討するという。

 「灰色は黒」とみなしてフォローするのは、人手も経費もかかる。それでも、大きな製品事故を起こしたときの損失と信用失墜にはかえがたい。

 消費者からの情報をこまめにすくい上げることは、商品改良にもつながる。長い目でみればプラスになるのだ。化粧品業界に限らず、メーカーにはそう考えてもらいたい。

 問題の美白成分は厚生労働省の承認をうけた医薬部外品だ。カネボウは申請の際、実際に肌につけて白斑やアレルギーが生じないか試験をし、厚労省の審査では、それを専門家がチェックして承認したはずだ。

 カネボウの試験は十分なものだったか。承認審査にはもっと厳しくすべき点はないか。厚労省は検証してもらいたい。

 2年前、小麦アレルギーを引き起こして自主回収された「茶のしずく石鹸(せっけん)」も医薬部外品だった。一般に、医薬部外品は医薬品より効き目がおだやかだ。副作用への警戒心がゆるむ分、気づくのが遅れて被害が拡大しやすい面があるだろう。

 早期発見のためには、メーカーと医療機関や医学界との連携強化が欠かせない。

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