特別警報の説明会 周知が課題7月31日 6時40分
来月末から運用が始まる「特別警報」について、気象庁は自治体を対象にした説明会を開きました。
今月の中国地方の大雨のように、すでに避難することが難しい状況になってから発表されるケースもあることから「特別警報」が出たときにどう行動すべきか周知しておくことが課題だとしています。
30日に気象庁で開かれた説明会には、全国17の都道府県などから防災の担当者が集まりました。
来月30日に運用が始まる「特別警報」は、現在の警報より強く災害への警戒を呼びかける情報で、それぞれの地域で数十年に一度しかないような重大な災害が起きる危険性が非常に高くなったときに発表されます。
会合の中で、気象庁の担当者は「特別警報」には、猛烈な台風の接近が予想されるときなど、事前に避難ができるだけの一定の猶予時間をもって発表する場合と、今月28日に山口県と島根県を襲った記録的な大雨のように、急激に状況が悪化して、すでに避難することが難しくなってから発表する場合の2通りのケースがあると説明しました。
説明会に参加した兵庫県の担当者は「『特別警報』と言われても、どのくらいの規模の被害が出るのかが分からない。できるだけ事前に情報を提供してほしい」と述べたうえで「今までは警報で警戒や避難を呼びかけてきたが、『特別警報』が出ることで、警報の地位が下がったと受け取られないようにしてゆきたい」と話していました。
気象庁の倉内利浩防災企画調整官は「どういうときに『特別警報』が発表されるのか知ってもらい、場所や時間帯に応じて、どう行動するのか日頃から考えてもらうために周知に力を入れてゆきたい」と話していました。
どう発表される?
「特別警報」は、気象庁の現在の警報より緊急性の高い防災情報として1か月後の来月30日から運用が始まります。
気象分野では、大雨と暴風、高潮、波浪、大雪、それに暴風雪の6種類の「特別警報」が設けられます。
このうち、大雨の「特別警報」は、3時間の雨量と48時間の雨量、それに土砂災害の危険性を示す指数を基準として、その地域で50年に一度しかないような大きな値となった場合に発表されます。
気象庁によりますと、「特別警報」は「全国で年に一度、出るかどうか」というほど、まれにしか発表されない見込みですが、今月28日に山口県と島根県を襲った記録的な大雨は「特別警報」に該当するケースだったということです。
気象庁は今回の説明会で、この大雨に当てはめた場合、「特別警報」がどのように発表されるのか説明しました。
それによりますと、▽今月28日の明け方、山口県と島根県西部では急激に雨雲が発達し、1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降り始めました。
▽各気象台はそれぞれ午前8時半ごろに大雨などの警報を発表しました。
警報が出たのは、山口県では萩市や阿武町、山口市など15の市と町、島根県西部では津和野町や益田市など5つの市と町でした。
▽「特別警報」は一定の広がりがある地域で基準が満たされたときに、府県や地域ごとにまとめて発表されることになっています。
今回の大雨に当てはめると、各県の市と町に出ていた大雨警報が午前11時20分ごろ、一斉に大雨の「特別警報」に切り替えられるということです。
▽また、今回の大雨では午前11時半ごろ、島根県の4つの市と町に、正午ごろには山口県の1つの市にそれぞれ大雨警報が追加されましたが、すでに「特別警報」が発表されている県では、新たに通常の警報の基準を超えた市町村が出た場合、そのまま「特別警報」に格上げされて発表されます。
気象庁によりますと、自治体の中には「特別警報」を市町村ごと個別に発表してほしいという要望もあるということですが、気象庁は、50年に一度あるかないかという大きな災害は、広域で起きる可能性が高いことから、「特別警報」は当面、都道府県ごとにまとめて発表するとしています。
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