長山古墳:「幻の古墳」存在確認 百舌鳥古墳群最古級、4世紀後半の埴輪−−堺
2013年07月31日
堺市は30日、同市堺区の住宅地で、長山古墳の葺(ふ)き石や埴輪(はにわ)片が初めて見つかったと発表した。長山古墳は文献に記載されていたが、開発で墳丘が削り取られ「幻の古墳」とされていた。築造が4世紀後半とみられ、百舌鳥(もず)古墳群最古級だったことも判明。同時期の乳岡(ちのおか)古墳とともに、古墳群の中で最も大阪湾寄りに位置しており、市は海岸近くから巨大古墳群が形成され始めたことを示すとみている。
市営住宅の建て替えに伴い、市が今年5月から約2200平方メートルを発掘調査していた。
市文化財課によると、見つかった葺き石は墳丘のすそに積み上げたとみられる石列。長さ16メートル、幅1・4メートル、高さ0・5メートルで直線上に並んでいた。前方後円墳の前方部の一部とみられ、長山古墳は100メートル級の前方後円墳だったと判明した。
付近からは、腕輪を模した車輪石(直径約20センチ)の破片が1点出土。盾や、身分が高い人の傘の形をした埴輪片も多数出土し、形状や特徴などから4世紀後半とみられるという。
長山古墳は当時の海岸線から数百メートルの位置にあった。現存する乳岡古墳はその約700メートル南に位置する。百舌鳥古墳群の最古級2基が海沿いに造営されていたことに、堺市の担当者は「海からの眺めを意識し、権力を誇示する目的だったのでは」と推測している。
現地説明会は8月3日午後1〜4時。申し込み不要。少雨決行。問い合わせは堺市文化財課分室(072・273・6101)。
百舌鳥古墳群は4〜6世紀に造営され、大山(だいせん)古墳(仁徳陵)など巨大古墳が集まり、44基が現存する。【高瀬浩平、服部陽】