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【社会】

映画「風立ちぬ」モデル・堀越二郎 願い記した「終戦日誌」発見

 旧海軍の主力機「零式艦上戦闘機」(ゼロ戦)の設計者で、公開中の映画「風立ちぬ」のモデルになった堀越二郎(1903〜82年)が、45年8月15日に記した日誌が見つかった。 (上田融)

 「終戦日誌」と題した便箋二枚分の文章で、東京都内にある堀越の自宅屋根裏で家族が見つけた。ゼロ戦の機体図や開発過程の実験記録などとともに保管されていたという。

 「日本の軍部とそれと結ぶ政治家が外交で平和的に打開せず武力に訴えるところまで短気を起こしたことが戦争の近因ではなかったか」と、開戦に至った原因を分析。

 「われわれに国際間の自由な交易を世界が許してくれなければ疲弊から立ち直ることはできない。そもそも先進欧米諸国のブロック経済主義が根本原因ではなかったか」とも記し、当時の日本が世界恐慌後の長い景気低迷と欧米の包囲網に苦しんだ状況にも言及している。

 そのうえで「戦勝国民も日本国民もこの反省がなければ、日本の前途には長期にわたる経済、道徳の混乱が続くだろう」とし、「日本に壊滅をもたらした政策を指導してきた者が全部去らなければ腐敗の種は残る。『誠実にして叡智(えいち)ある愛国の政治家出(い)でよ』。これが願いである」と結んだ。

 日誌は、埼玉県所沢市の所沢航空発祥記念館で、九月一日まで開催中の企画展「堀越二郎の生涯」で展示している。

 

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