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オスプレイ―負担軽減の約束どこへ

米海兵隊の新型輸送機オスプレイ12機が米軍岩国基地(山口県岩国市)に陸揚げされた。試験飛行や整備を経て、今月上旬に沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場に配備される。[記事全文]

高血圧薬不正―これは構造的な問題だ

人気薬をめぐる不正が、日本の研究機関の構造的なひ弱さをあぶり出している。製薬大手ノバルティスの高血圧治療薬ディオバンについて、東京慈恵会医大の臨床研究でもデータ操作が明[記事全文]

オスプレイ―負担軽減の約束どこへ

 米海兵隊の新型輸送機オスプレイ12機が米軍岩国基地(山口県岩国市)に陸揚げされた。

 試験飛行や整備を経て、今月上旬に沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場に配備される。

 普天間には昨秋からオスプレイの第1陣、12機が配備されており、これで計24機になる。

 安倍首相は「沖縄の負担軽減に全力で取り組む」と誓ってきた。これでは逆に、負担倍増ではないか。

 沖縄の反発は、強まるばかりである。

 今年1月、沖縄県内の全41市町村の首長らが上京し、首相に配備撤回を直訴した。追加配備も中止を求めた。仲井真弘多(ひろかず)・沖縄県知事は「沖縄の負担は限界」と訴えてきた。

 それなのに、なぜ普天間への追加配備なのか。説得力のある説明はない。

 老朽化した輸送ヘリCH46に比べ、オスプレイは速度が2倍、搭載能力は3倍、行動半径は4倍とされる。専門家の間でも沖縄配備にこだわる必然性は小さくなったとの見方がある。

 地元の訴えに真剣に耳を傾ける姿勢も見られない。

 沖縄県は、昨年配備されたオスプレイについて目視調査を実施。飛行ルールなどの日米合意違反が、2カ月間で318件あったと指摘した。

 これに対し、防衛省は「違反との確証は得られていない」とする検証結果をまとめた。

 ところが、その根拠は「22時以降は飛行しないよう努力しているとの説明を米側から受けている」「住宅地が少ない場所を飛行しているとの説明を米側から受けている」と、米側の説明をそのまま受け入れている。

 そもそも日米合意自体が「できる限り人口密集地域上空を避ける」「できる限り早く夜間の飛行を終了させる」と米軍に配慮した書きぶりで、厳しい歯止めにはなっていない。

 これでは、沖縄軽視と言われても仕方あるまい。

 オスプレイの空軍仕様機CV22の配備問題も浮上している。米太平洋空軍のカーライル司令官は会見で、配備先の候補として、沖縄の嘉手納基地(嘉手納町など)と、東京都の横田基地(福生市など)を挙げた。

 だが菅官房長官は横田基地への配備について「実現性はないと思っている」と述べている。沖縄がさらに負担を強いられる可能性がある。

 負担軽減の約束はどこへ行ったのか。「抑止力強化」の名の下に沖縄の民意を黙殺するようでは、いずれ日本の安全保障政策は行き詰まる。

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高血圧薬不正―これは構造的な問題だ

 人気薬をめぐる不正が、日本の研究機関の構造的なひ弱さをあぶり出している。

 製薬大手ノバルティスの高血圧治療薬ディオバンについて、東京慈恵会医大の臨床研究でもデータ操作が明らかになった。

 京都府立医大と同様に元社員がデータ解析を担当した。会社に有利な結論になるように改ざんした疑いが一層高まった。

 会社側は先日、「改ざんの証拠は見つからなかった」と発表したが、それで済ませられるはずがない。

 深刻なのは、今回が氷山の一角かも知れないことだ。これまでの両大学と会社の調査結果からは、医学界と製薬業界の根深い問題が露呈した。

 まず、日本の臨床研究の技術と基盤が実に貧弱なことだ。

 慈恵医大の医師たちは、責任者だった教授も含めて、「自分たちにはデータ解析の知識も能力もない」と口をそろえたという。これは、そもそも自分たちには臨床研究の立案能力がないとの告白に等しい。

 第二に、学界は最低限の研究倫理も疑われていることだ。

 両大学ともデータ解析を元社員まかせにしていながら、論文にその事実を明記していなかった。慈恵医大の場合、一流医学誌の論文掲載基準に合わせるため、「データ解析グループは資金提供者とは独立していた」と虚偽の記載までしていた。

 第三に、学界と業界のもたれ合いである。カネも能力も乏しい研究者側の弱みにつけ込むように、製薬業界が資金と労力を提供し、学界は長年、無反省にそれを受けとってきた。

 京都府立医大では1億円、慈恵医大では8400万円の奨学寄付金が、仕切り役の教授にわたっていた。研究上の使い道を限らない資金である。前後してノバルティス側は高血圧薬の臨床研究を持ちかけ、データ解析も引き受けた。

 研究者は企業のお膳立てどおりに患者のデータを集めさえすれば、自分の業績となる論文ができる。企業は、論文を使って製品の宣伝に役立てられるという腐敗しやすい構図だ。

 慈恵医大は今後の対策として、研究行動のルールづくりや倫理教育の強化、データ解析を支える臨床研究センターの学内設置などを打ち出した。これまで実行していなかったのが問題というものばかりだ。

 医学論文の虚偽記載は、科学への裏切りともいうべき行為であり、失われた信頼の代償はあまりに大きい。ほかの大学や大病院も早急に、臨床研究体制を見直すべきである。

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