広東省広州に暮らす、農民工の欧栄貴さんです。
両親もかつて、貧しい農村から広東省に農民工として出稼ぎに来ていました。
農村には仕事がないため、中学を卒業したら、出稼ぎにでるのが当たり前でした。
17歳の時、広東省に来て建設現場などで働きましたが、給料は低いままです。
少しでもいい条件の仕事を探して、これまで10以上の職を転々としてきました。
広東省にきて12年。
結局、希望の仕事は見つからず、今は無職です。
欧栄貴さん
「ほとんど同じで、どの仕事もいまいちです。」
この日、配達員の仕事があると聞いて、ある会社を訪ねました。
欧栄貴さん
「こんにちは、配達員は募集していますか?」
従業員
「社長はいないわよ。」
欧栄貴さん
「募集の看板を見たのですが…。」
結局、採用されませんでした。
欧栄貴さん
「配達員は、ほかの仕事よりも高収入と聞いていたのですが。」
経済成長が続く中国では、富裕層はますます豊かになり、高級ブランドの服を着たり、高級車を乗り回したりするなど、贅を尽くした暮らしを送っています。
一方、大半の農民工は、経済発展の恩恵を十分には受けていません。
大きな壁となっているのが戸籍の問題です。
農村出身の農民工の戸籍は都市出身者の戸籍とは区別され、都市に出てきても就職などで様々な制約を受けるのです。
欧さんは、ひと月の家賃が250人民元、日本円で4,000円のアパートに友人と暮らしています。
働いていた時に蓄えたわずかな貯金で食いつないでいます。
ふるさとへの仕送りも出来なくなりました。
しかし出費を切り詰め、パソコンとスマートフォンをなんとか買いそろえました。
苦しい生活の中で、唯一の楽しみであるインターネットを使うためです。
ネットでつながった仲間達に、自分の不満をぶつけます。
欧栄貴さん
「農民工は社会から見捨てられた存在だ。
私たちは社会に価値のあることをしてきた。
でも、それが認められず不公平だ。」