無駄の削減・行革が先
⑧について、無駄の削減が不徹底だ。野田首相が政権交代の前、ほんの2年前の話だが、シロアリ退治の街頭演説をしている。そのシロアリとは、国家を蝕む天下り役人だ。シロアリの巣が独立行政法人である。シロアリへのミルクが特別会計の埋蔵金だ。
民主党政権になって、シロアリ退治どころか、天下りが水面下でなされるのを放置し、その上に現役出向というウラ技を正面から容認し、民間企業にまで現役天下りを拡大させてしまった。独立行政法人というシロアリの巣も手つかずだ。特別会計というシロアリへのミルクも温存されている。
1981年から始まった土光臨調をまねて行革をやるというが、土光臨調は「増税なき財政再建」だった。だが、今回は「まず増税ありき」で、増税のためのアリバイ作りにすぎない。
資産売却・埋蔵金が先
⑨についても、やっていない。かつて特別会計のいわゆる「埋蔵金」を指摘し、「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(行革推進法)を立案し、特別会計改革の道筋をつけたと自負する私から見れば、やっていないのだ。
行革推進法は、小泉政権時代を象徴する法律だ。政策金融改革、独立行政法人改革、総人件費改革、国の資産及び負債改革などとともに、特別会計改革が盛り込まれており、「今後5年を目途に31ある特別会計の数を2分の1から3分の1に大幅に削減する」ことも書かれているが、改革のキモは「2006年度から2010年度までの5年間で、財政の健全化に総額20兆円程度の寄与をすることを目標として定めている」ことだ。
小泉政権の時には、増税の前にやるべきことをやって、埋蔵金を掘り出し、増税をやらなかった。それに比べて、野田政権の特別会計改革には金額が出ていない。