消費税の社会保障目的税化は、社会保障を保険方式で運営するという世界の流れにも逆行するものだ(ドイツのように消費税引き上げの増収分の一部を、特定用途に使った国はある)。
消費税の社会保障目的税化が間違いというのは、1990年代までは大蔵省の主張でもあった。しかし、1999年の自自公連立時に、財務省が当時の小沢一郎自由党党首に話を持ちかけて、消費税を社会保障に使うと予算総則に書いた。なお、平成12年度の税制改正に関する答申(政府税制調査会)の中で、「諸外国においても消費税等を目的税としている例は見当たらない」との記述がある。
消費税は地方税とすべき
⑦について、消費税は一般財源だが、国が取るか地方が取るかという問題になる。地方分権が進んだ国では、国でなく地方の税源とみなせることも多い。これは、国と地方の税金について、国は応能税(各人の能力に応じて払う税)、地方は応益税(各人の便益に応じて払う税)という税理論にも合致する。
ヨーロッパの国は一国の規模が小さく、GDPでみても日本は欧州の国が7つ、8つくらい集まった規模だ。ヨーロッパの場合にはサイズが小さく、日本からみれば地方単位であるので、EUを一つの国として、その中に地方があり、それぞれで消費税を導入しているという見方もできる。
また、地方分権の進んだ国では、オーストラリアのように国のみが消費税を課税し地方に税収を分与する方式、ドイツ、オーストリアのように国と地方が消費税を共同税として課税し、税収を国と地方で配分する方式、カナダのように国が消費税を課税し、その上に地方が課税する方式、アメリカのように国は消費税を課税せず、地方が消費税を課税する方式がある。これらをみると、世界をみても、分権度が高い国ほど、国としての消費税のウエイトが低い。