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高橋洋一の俗論を撃つ!
【第41回】 2012年6月14日
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高橋洋一 [嘉悦大学教授]

6・13 国会公聴会
私が述べた消費税増税反対の10大理由

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迫る欧州危機

 ③について、欧州で危機が迫っているのがわかっていながら、日本で増税を行うのは理解できない。2008年9月のリーマンショックの時、震源地でもない日本が世界最悪のGDPギャップを抱えてしまった。

 それは2006年3月にデフレを脱却していないにもかかわらず、日銀が量的緩和を解除してしまい、その半年後あたりから景気が下降局面に入っているときに、リーマンショックという外的ショックを受けたからだ。今回は、まだ東日本大震災の傷もまだ完全には癒えていない。それにもかかわらず、消費税増税を強行するのは経済政策としては信じがたい。

不公平の是正が先

 ④について、税率を上げる前に、税(保険料を含む)の不公平を直しておくべきというのがセオリーだ。税の不公平は穴のあいたバケツのようなもので、それでいくら水をすくっても効率が悪い。しかも税の不公平の是正は、税率を上げるときに国民の納得感にも大きく影響する。

 今の不公平のうち大きいのは、社会保険料の徴収漏れだ。国税庁が把握している法人数と年金機構(旧社保庁)が把握している法人数は80万件も違う。労働者から天引きされた社会保険料が、年金機構に渡っていない可能性があるのだ。それは10兆円程度と推計される。そのほかにもクロヨンといわれる所得税補足の格差やインボイスを採用していない消費税の徴収漏れもある。税徴収の観点からみても今は「穴の空いたバケツ」だ。税率を上げる前に穴をふさぐのは常識だ。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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