2013年7月30日未明、中国・福建省にある「パラキシレン」という物質を扱う石油化学プラントで爆発事故が起きた。目撃者によると爆発後、炎が40~50メートルにも上がったそうだ。
くしくも、その日、中国共産党機関紙『人民日報』がパラキシレン工場の安全性を力説する記事を発表していたという。
・中国のパラキシレン工場が爆発
爆発事故が起きたのは福建省ショウ州市(ショウはさんずいに“章”)にある、パラキシレン工場だ。パラキシレンはポリエステル繊維やペットボトルなどで知られるPET樹脂の生産に必要なものだ。
・パラキシレン工場には中国国民も不安
しかし、一方でパラキシレンは毒性の強い物質でもある。中国ではパラキシレンの人体や環境への影響に対する不安が高まっていた。事故が起きたショウ州市の工場も元々福建省アモイ市に建設予定だったが、住民の反対にあい移転してきたものだった。移転決定時には「政府が環境デモに屈した」と話題になっていた。
・人民日報がパラキシレン工場の安全性を強調 → 同じ日に工場が爆発
そんななか、中国共産党機関紙である『人民日報』は7月30日付で「パラキシレン産業は発展してはいけないのか?」という記事を発表。「世界的に見てもパラキシレン工場における重大な事故は起こったことがない」、「日本では工場は住宅地から4キロ地点にあるが問題はない」と、その安全性を力説していた。しかし、くしくもその安全性を強調したのと同じ日に、そのパラキシレン工場は爆発してしまったのだ。
・目撃者「炎が40~50メートルほどあがった」「衝撃で家中のガラスが割れた」
事故を目撃したというネットユーザーからは、「炎が40~50メートルくらいあがった」、「衝撃で家中のガラスが割れた」、「爆弾かと思った」などと中国版Twitter・Weiboに書き込みがされている。Weiboにアップされた写真を見る限り、かなり大きな爆発であったと見られている。
・公式発表「死傷者ゼロ、有害物質も漏れていない」
公式発表によると、事故は未稼働のパイプに水素を注入する耐圧テスト中に起きたものだという。パイプの溶接部分に亀裂がはいり、爆発事故へとつながってしまったそうだ。この事故による死傷者はゼロ、有害物質の流出もなく施設の重大な損傷もなしであるとのこと。
だが、インターネット上では「作業員が無事だとは思えないのだが」、「付近に住んでいる人が変なにおいがすると言っていた」、「“死者はゼロ” をあなたは信じますか?」と、発表に対し懐疑的な声も出ている。
参照元: Sina Weibo @易楽廈工論壇、Wall Street Journal 中国語版、新浪財経(中国語)
執筆:澤井恵
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