降圧剤データ:慈恵医大も操作認める 論文撤回へ

毎日新聞 2013年07月30日 21時48分(最終更新 07月30日 23時28分)

記者会見で頭を下げる調査委員会の橋本和弘委員長(中央)ら=東京都港区の東京慈恵会医大で2013年7月30日午後6時45分、森田剛史撮影
記者会見で頭を下げる調査委員会の橋本和弘委員長(中央)ら=東京都港区の東京慈恵会医大で2013年7月30日午後6時45分、森田剛史撮影

 望月元教授は「重大な疑念を生じさせておわびします。私が全て責任を負う」とのコメントを発表。ノ社は「大学の発表を重く受け止めている。発表内容の詳細を把握していないので(これ以上の)コメントは控えさせていただきたい」との談話を出した。【河内敏康、八田浩輔】

 ◇患者は余分な負担 高価でもメリット信じ

 降圧剤バルサルタンに宣伝された脳卒中予防などの効果に科学的な根拠がなかったということは、そうした効果を信じて服用してきた患者が余分な医療費を負ってきたことを意味する。

 高血圧の治療薬のタイプには、▽バルサルタンのように血管を拡張させる▽心臓の働きを抑える▽余分な水分などを体外に排出する−−などがある。バルサルタンは1日160ミリグラムの服用で年間約8万1650円かかるが、最も安いものなら約3500円で済む。健康保険が適用されても70歳以上だと1割を自己負担している。

 バルサルタンが価格の割に使われてきたのは、臨床試験で効果を確かめたという論文を現場の医師が信じたためだ。医療政策に詳しい埼玉県済生会栗橋病院の本田宏医師は「論文通りのメリットがなければ、患者にもっと安価な降圧剤を処方するという選択肢もあったはず。患者には個人負担の増加、公的には医療費の増大をもたらしたという意味で、看過できない問題だ」と批判する。

 バルサルタンの昨年度の売り上げは1083億円と、医師が処方する国内の医療用医薬品の中で最も売れた。ノバルティスファーマの二之宮義泰社長は29日の記者会見で、本来は得られなかったであろう利益について賠償の意思を問われ、「論文に疑義があると認識せずに宣伝に利用していた。降圧剤としては患者様の役に立っている」と述べ、否定した。【河内敏康、八田浩輔】

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