夏の扉をついにこじ開けた。
第95回全国高校野球選手権記念奈良大会で、県立・桜井高が初優勝を果たし、甲子園初出場を決めた。
春・夏の甲子園に出場したことのないチームが悲願を果たす。
それは全国的に珍しいということではないが、奈良県に限っていうと桜井高の優勝は非常に稀有なことだった。
というのも、奈良県ではこの44年の間、夏の優勝を天理・智弁学園・郡山の3校で分け合ってきたからだ。現加盟の残り40校は、この3校、いわゆる「3強」の前に涙をのんできたという長い歴史があった。
1989年、大会中に1試合19奪三振を記録した大島寛(元西武)を擁する斑鳩(現法隆寺国際)、1991年、三浦大輔(DeNA)を擁した高田商、1994年田中宏和(元近鉄)を擁した桜井商(現奈良情報商)などの好投手が決勝戦で好投しながら甲子園まであと一歩届かなかった。1998、1999年には高田が2年連続決勝で敗れたほか、新興・私学の奈良大付が、3度決勝(2002、2007、2008年)で敗れている。2006年の決勝戦では斑鳩・法隆寺国際の合同チームが9回1死まで1点をリードしながら、3強の底力にひれ伏した。
3強のうち一つを倒しても、どちらか一つに苦杯を舐めた。
近年の奈良県の高校球児や指導者にとって「3強」の壁を越えて、44年にも及ぶ沈黙の歴史を破ることは悲願であった。
今年は準決勝を前に「3強」が全て姿を消した!
ところが、今年は大会に入ると様相が違っていた。
奈良大付が2回戦で郡山を破ると、3回戦で天理を打力で圧倒した。準々決勝では、大黒柱・立田将太を擁する大和広陵が智弁学園にサヨナラ勝ち。準決勝を前にして「3強」全てが姿を消したのである。
智弁学園の部長・監督を務め、元奈良県高野連理事長の和泉健守(日本高野連理事)は、今大会の流れをこう分析する。
「ここ数年は、奈良大付を中心にして『3強』との差が縮まりつつあって、いつ3強以外の学校が甲子園に出場してもおかしくないという流れができていました。去年、畝傍が準決勝で智弁学園を破りましたし、桜井や橿原学院など、奈良大付に続く10校ほどのレベルが上がってきていました。今年は、3強の投手陣がいつもほどではなく、他校の投手陣が上回ったからこのような結果になったのではないでしょうか」
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