河北春秋

 大館市にある蔵元の北鹿で造る日本酒に「仙台坊主」という銘柄がある。秋田県北で仙台の名を冠したお酒を造っているのはどうしてか▼実は仙台坊主は酒の名前だけでなく、原料米の名称でもある。かつて秋田県北で生産されていたという。明治時代に大崎市古川の農業試験場で開発された、とも伝わっている

 ▼復刻を図ろうと、北鹿と地元農家が平成10年に種もみをつくば市にある国の研究機関から入手。3年後に、独特の味わいを持つ純米吟醸原酒、仙台坊主として結実したというわけ▼「蔵の特徴は残しつつ、変えるべきところは変えて、時代に合った商品を提供していきたい」と北鹿。秋田県は美酒王国を誇る。蔵元、酒造組合、県はおいしく、高級感のある純米酒や吟醸酒などの特定名称酒造りに力を入れている

 ▼「秋田酒こまち」という名の地元で生み出した主力の酒造好適米があるが、新たな原料米の開発も進む。県総合食品研究センターは「酒造会社がもうかり、消費者が喜ぶような原料米と純米酒を実現したい」と意欲を見せる▼新しい原料米ができ、新しい美酒が誕生するまでにはまだ時間がかかるだろう。「米の秋田は酒の国」はうたい文句の一つ。どんな味わい深いお酒ができるか楽しみに待ちたい。

 

2013年07月29日月曜日

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