(cache) 古地図散歩　江戸城外堀を歩く！⑤

ページビュー

233160

2012-10-18

古地図散歩　江戸城外堀を歩く！⑤

東京町歩き

江戸城外堀の古地図散歩である。

↓今回のパンフレット

f:id:tokaidorekisi:20120910162353g:image

市ヶ谷から先は、外堀通りから１本脇道に入る。ここに浄瑠璃坂がある。

浄瑠璃の芝居小屋があったことが名前の由来という説もある坂道である。江戸時代の初めころ、この坂道で仇討ち事件があった。宇都宮藩奧平家の家老奧平内蔵允は同じく家老の奧平隼人から主君の法要の席で罵られ、堪えかねた内蔵允は刀を抜いて隼人斬りつけ、その後自害した。内蔵允の家は改易になったが、その息子の源八は相手を親の仇と付け狙い、４年後に浄瑠璃坂の屋敷に住んでいた隼人の一族を４２人で襲撃したのである。

このとき隼人はたまたま留守であったが、隼人の父、叔父、家人たちが殺傷された。一方、源八たちにも死傷者が出て、牛込門の前まで引き上げて負傷者の手当をしていた。そこへ帰宅して異変を知った隼人が家臣たちとともに刀槍を手に追いかけてきて、牛込門の前で乱闘となった。このとき隼人は外堀に落ちてしまい、源八の家臣たちに取り押さえられたところを源八に槍で貫かれて首を取られてしまった。

源八たちはその後すぐに井伊家に自首し、いったんは島流しになったものの後に赦され、この仇討ちに参加した者たちは全て井伊家などの大名に召し抱えられたという。後に仇討ち事件を起こす大石内蔵助ら赤穂浪士は、この事件を参考にして一挙に及んだとも言われている。

近くには愛敬稲荷という稲荷神社がある。

©人文社

江戸時代の古地図にはこのように大きく書かれているが、現在はアパートの敷地内にある小さな神社である。

今日の愛敬稲荷は大人気！

おかめ顔だった近江屋の娘が、この神社にお詣りしたところ嫁のもらい手が見つかったということで、縁結びの御利益があるという。

この付近の外堀は、外側に向かって高台になっているので坂道が多い。こちらは逢坂である。

奈良時代の武蔵守小野美佐吾は、この地の百姓の娘さねかづらと恋仲となった。任期が終わり奈良の都に帰った美佐吾だが、さねかづらのことが忘れられないままやがて死んでしまった。一方のさねかづらは、夢で美佐吾がこの坂道に来ていると聞かされ、目覚めてから来てみると、本当に坂の途中に美佐吾が立っていた。しかし駆け寄ってみると、美佐吾の姿が消えていた。不思議なこともあるものと思っていたところ、その日の夕刻、さねかづらの元に美佐吾の訃報が届いた。さねかづらはこれを悲しんで、坂の下にあった池で入水自殺をしてしまったという。

この坂道の下には、小さな神社がある。かつてこの神社の境内には掘兼の井戸と呼ばれている井戸があった。継子に井戸掘りを強要したところ、なかなか水が出ずについに継子は穴の中で死んでしまったという伝説がある。水が出ずに「掘りかねた」ので「掘兼の井戸」である。この井戸は第二次大戦の空襲で失われてしまったが、神社前の駐車場には近年掘られた井戸がある。

管理人さんが水を撒くのに使っている。