宮城県石巻市は、東日本大震災で大きな被害を受けた半島など周辺部の街づくりの基本構想をまとめた。高台や盛り土した被災跡地に公共施設や商業施設を集約し、地域の復興をけん引する役割を担う。
雄勝地区は、伊勢畑の高台と高さ約9メートルにかさ上げする被災跡地の計8.4ヘクタールが対象。20メートル以上の高台には防災集団移転促進事業の宅地や、公民館と図書館といった施設を組み込んだ総合支所などを整備する。
被災跡地は観光エリアに設定。移転再建する雄勝硯(すずり)伝統産業会館や地元の水産加工品を販売する店舗などを配置する。来年夏から造成し、2016年度に完成予定。概算事業費は21億4000万円で、9割以上は国の補助金を充てる。
牡鹿地区は、観光桟橋周辺の被災跡地3.4ヘクタールを高さ6メートルにかさ上げし、観光・商業施設を立地させる。今秋以降の「三陸復興国立公園」編入をにらみ、環境省はビジターセンターを新設。市の観光施設「おしかホエールランド」はほぼ現在地で再建する。鮎川浜の商業店舗を集約するエリアも設ける。
14年度冬には造成に着手、16年度内に整備を終える。概算事業費は15億3000万円で、国の補助金でほぼ9割を賄う。
北上地区も近く構想が固まる。市基盤整備課は「地域の産業や観光資源を生かす街づくりを描き、地域に活気を取り戻したい」としている。