ミラクル・サイクル・ライフ:まずは「左側通行」徹底を /東京
毎日新聞 2013年07月28日 地方版
<自転車協会presents TBSラジオで毎週日曜午後6時半から放送>
前回は自転車の車道走行の安全性を紹介しました。今回は左側走行の大切さです。番組進行役で自転車愛好家の疋田智さん(46)は「車道走行よりも挑戦しやすく、自転車事故抑止の一番の特効薬だ」と太鼓判を押します。
現在の道路交通法では、自転車の通行場所について、歩道と車道の区別のある場所であれば、車道の左側を走行すると決まっています。自転車の歩道通行が許可されている「自転車歩行車道」は道路の左右どちらも通行できます。しかし、疋田さんが左側走行を勧めるのは、車と同じ動きをすれば正面衝突事故を避けられるし、交差点事故の減少にもつながると考えているからです。
警察庁によると、09年の自転車事故15万6373件のうち、交差点での発生は11万3761件。自転車事故全体の73%に上りました。疋田さんは「右側通行の自転車は、ドライバーにとって左側の道路から急に姿を現すことになり、事前に自転車の動きを察知するのが難しい」と指摘します。
左側通行であれば、車と同じ動きをするので、ドライバーは自転車の動きに気付けます。左折する時の巻き込み事故を注意すれば、両者が安全に走行できます。
ただ、いまだに自転車の右側走行を勧めるケースもあるようです。疋田さんは自転車の右側走行を勧めてしまう背景として、自転車を歩行者の仲間と考えていることや、右側走行をすれば向かってくる車が見えて安心だと勘違いするケースがあると指摘します。これに対し「追突に比べ、正面衝突すればぶつかった衝撃は大きくなり、重大な事故につながる」と反論します。
海外と比較しても、日本のように自転車の走行方向が確立していないのは珍しいといいます。ただ、国内でも注目すべき動きがありました。今年6月の道交法改正で、歩道のない道路の端を白線で区切った路側帯を走る場合「左側通行に限る」と決まりました。
全国の道路約120万キロのうち、歩道のない道路は約100万キロとされます。このうち路側帯のない道路(車道)では、もともと自転車は左側通行のため、この法改正によって全国の道路の8割は自転車の右側通行が禁止されることになりました。疋田さんは「まずは左側走行を徹底しましょう。安全走行につながります」と呼びかけています。【馬場直子】