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(被災地から)海中捜索、熱い仲間と

■宮城・石巻支局長 川端俊一

 朝、北上川河口の先の漁港から船で海に出た。沖が靄(もや)にかすむ。この季節にしては肌寒い。

 佐藤純一さん(36)は船縁(ふなべり)に魚群探知機を取り付けた。めざす地点に着くと、4人のダイバーたちが潜水具を身に着け、2人ずつ交代で海に飛び込む。

 津波にのまれ、いまだ帰らぬ人を探すための海中捜索だ。がれきの沈んだ位置をソナーで特定し、潜って確認する。宮城県石巻市北上町の沖で震災の年から続いている。メンバーは各地から来た公務員、警察官、消防隊員、計測機器会社の社員――。全員がボランティアだ。

 佐藤さんは酔い止め薬を口にした。「家の船が津波で流されるまで、海には慣れてたけど」

 あの日、50人以上が犠牲になった北上総合支所で、小学生だった息子と娘、そして母を亡くした。同じ小学校の2人の児童はいまも行方不明だ。

 ダイバーたちは海底で漁船や自動車を見つけた。車はこれまでに数台見つけたが、まだ遺体の発見はない。

 ダイバーの一人、大坪俊彦さん(47)は広島県で美容室を営む。「できることはやらなければ。それだけです」。別のダイバーは子どものころ、父が船の事故にあい行方不明のままだ。「今も心の整理はつきません」

 佐藤さんはいつになく快活に見えた。2年4カ月を過ぎ、発見は難しいが、「家族のもとへ帰す」という思いだけでみんなとつながってきた。「気持ちの熱い、この人たちに会うと元気が出る」。石巻市だけで行方不明者は約440人。この活動は8月で一区切りだが、形を変え、なお探し続けるつもりだ。

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