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【野津彩子、東野真和】アベノミクスの追い風を受けた自民党の圧勝で終わった今回の参院選。「復興」が争点になった岩手選挙区では、無所属現職の平野達男・前復興相(59)が自民新顔の田中真一氏(46)らを大差で下した。当選と次点の2人の戦いぶりを検証すると、暮らしを風まかせにできない切実さと無力感にさいなまれる被災者の姿が浮かんだ。
■復興語る「言葉」傾聴
「候補者は『田中真一』です。投票用紙に小泉進次郎と書かないように」
「月命日」の7月11日。大槌町の仮設商店街で、地元県議が冗談めかしてマイクで繰り返した。田中氏の応援に来た小泉進次郎・党青年局長に、握手を求める人がどっと押し寄せた。
田中氏は慶大ラグビー部前監督で「落下傘」候補。擁立は3月末にずれこんだが、自民は21年ぶりの議席獲得を楽観していた。安倍晋三首相の2日、石破茂幹事長と小泉氏の各3日を始め、党幹部・閣僚の岩手入りは延べ27日に上った。
大槌町で演説を聴いたパート店員の女性(38)は小泉氏と握手をしたが、田中氏に投票しなかった。「進次郎は好きだが、票は政策を比べて入れた。田中さんに個性を感じなかったし、どんな人かもわからない」
政見放送の内容を比べると、田中氏も平野氏も「復興」に一定の時間を割いていたが、2人の違いは明らかだった。
田中氏がアベノミクスや日米同盟強化など党の政策を並べたのに対し、平野氏は実績を訴えた。また、田中氏が3回しか使わなかった「私」という言葉を平野氏は10回も使った。
被災者らが望んでいたのは、復興に対する候補者本人の言葉、考えだった。
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