オーストラリア:難民政策を転換…密航者締め出し

毎日新聞 2013年07月29日 19時54分(最終更新 07月29日 21時12分)

 【ジャカルタ佐藤賢二郎】密航船による難民流入に苦慮するオーストラリアのラッド労働党政権が、密航者を完全に締め出す方針を打ち出した。漂着した全ての難民希望者を隣国パプアニューギニアに移送、難民認定されたとしてもパプアに定住させる。年内の総選挙を前に、強硬姿勢を示して有権者の支持を得る狙いがあるが、国連などは「難民保護を定めた国際法に違反する恐れがある」と強く批判している。

 ラッド首相は19日、豪州東部ブリスベーンでパプアのオニール首相と難民申請者の移送に関する合意文書を交わし、「現時点から船で到着した難民希望者が豪州に定住する機会はない」と明言。「密航船による惨劇を止めるため」と強調した。

 豪州では2007年に政権交代で誕生したラッド第1次労働党政権が、難民受け入れに寛容な政策を打ち出し、パプアなど国外2カ所にあった収容施設を閉鎖した。難民審査を国内に切り替えた結果、中東や南アジアからの密航者が急増。船の老朽化や定員超過が原因の沈没事故が多発し、犠牲者総数は1000人を超える。

 事態打開のため昨年8月、ギラード前政権は国外施設での審査を再開したが、今年に入っても1万5000人以上が漂着。事故も続き、7月23日には難民希望者約200人を乗せた密航船がインドネシア・ジャワ島沖で転覆し、11人の死亡が確認された。

 野党保守連合は労働党の難民政策を繰り返し批判。総選挙を控え、6月に再登板したラッド首相こそ「問題の張本人」と攻勢を強め、増加する難民関連予算に不満を強める国民からも強硬な対策を求める声が出ている。

 ラッド政権はパプアの施設の収容人数を200人から3000人に拡張し、19日以降に漂着した密航者約700人もパプアに移送すると発表。だが、パプアは東南アジア最貧国の一つで、人権団体などが収容環境の劣悪さを指摘している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は26日、「パプアでの審査には法的、人道的に重大な欠陥がある」と懸念を表明した。

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