インサイド:岐路に立つJFL/下 地域リーグの現状 「プロ的な運営」に難色も
毎日新聞 2013年07月25日 東京朝刊
ある水曜日、午後10時。東京都内にある時間貸しのフットサルコートで、サッカー関東1部リーグの「エリースFC東京」に所属する選手のうち10人ほどが集まり、練習試合を始めた。その様子を見守っていた同FCの小宮敏裕理事長は、笑顔で言った。「それぞれ仕事で忙しいのに、サッカーに時間は惜しまない。この情熱は一体どこから湧いてくるんでしょうね」
所属チームの大半が新設のJ3への道を選んだ日本フットボールリーグ(JFL)は現在、来季14クラブでスタートする方向性で準備を進めている。
だが、現時点で参加が決定しているのは6クラブに過ぎず、残り八つについては、まだ決め方すら決まっていない。全国に九つある地域リーグ(北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国、四国、九州)の優勝者などが争う「全国地域リーグ決勝大会」の上位3チームに昇格の権利が与えられるほか、J3の審査で漏れたクラブが戻ってくることも想定されるが、JFLの加藤桂三専務理事は「いずれにしても例年より数チーム多く地域リーグから上がってもらうと思う」と話す。
J3は初年度はJFLを経ない“飛び級”を認めたこともあり、地域リーグから7クラブが名乗りを上げた。加えて、JFLへの“昇格枠”も増える。各地域リーグでプレーするクラブの側から見れば、突然上位リーグへの道が広がった形だ。
■「多額の経費がかかる」
だが、受け止め方は千差万別だ。JFL昇格を目標に掲げ、クラブのNPO法人化を目指している関東1部リーグ・さいたまSCの秋山健二監督は「定着できるかはわからないが、挑戦したい思いはある」と歓迎するが、エリースFC東京の小宮理事長は「今のJFLには魅力を感じない」と素っ気ない。
小宮理事長は「いくら行きたくても多額の経費がかかり、協賛金などを得ないと参加は不可能だ」と指摘する。全国を転戦するJFLでは遠征費などがかさみ、一般的にクラブの運営費は年間3000万〜5000万円とされる。エリースFC東京やさいたまSCのように、1人7万円の年会費を集めて運営しているようなクラブにとっては膨大な数字であり、この点ではJFLを目指している秋山監督も、「運営面は、JFLはすでにアマのレベルを超えていると思う」と同じ意見だ。