インサイド:岐路に立つJFL/上 苦悩と危機感 自らの存在意義を模索
毎日新聞 2013年07月23日 東京朝刊
7月16日、Jリーグの理事会後に開かれた記者会見。来季から新設する3部のJ3について、初年度の参加クラブ数を「12」に決めたことを発表した中野幸夫専務理事は、満足げに言った。「予想より多いクラブに高い関心を持っていただき、J3への期待を感じている」
1993年の開幕から20周年を迎えた今年2月、JリーグはJ3の新設を決めた。参入にはリーグへの準加盟が条件となるが、6月末の締め切りまでに全国から13クラブが準加盟を申請。すでに準加盟承認を受けている6クラブと合わせ、現在計19クラブが名乗りを上げており、審査を経て11月に初年度の参加クラブが発表される。
一方、これまでJ2の下に位置し、「アマチュアの最高峰」と「Jリーグへの登竜門」の二つの役割を担ってきた日本フットボールリーグ(JFL)は、その大きな影響を受けている。現在所属する18クラブのうち、準加盟申請をしなかったのはわずか6クラブで、実に3分の2が“J3行き”を選択した。審査によって、すべてがJ3入りするとは限らないとはいえ、大半が去ることは確実。JFLの加藤桂三専務理事は「数年は厳しい運営になると思う」と来季以降の見通しを語る。
■「4部化」と皮肉る声も
Jリーグが今年3月に発表した将来構想の図では、これまで一つだったピラミッドをJリーグの「プロ」と、JFLを頂点とする「アマ」の二つに分け、J3とJFLを同じ高さに置いて並べているが、「事実上JFLの4部化」と皮肉る声も多い。あるクラブの関係者は、「今、何かを打ち出さなければ埋もれてしまうという焦りが現場にはある」と吐露する。
その危機感から、JFLでは4月以降、各クラブの代表者が集まって毎月開く「運営委員会」の後に、主に“残留組”の担当者ら有志が居残り、今後のリーグのあり方を議論している。だが、過去4回の話し合いで決まったのは、「来季は14チームでスタートできるよう準備する」という方向性だけだ。
別のクラブ関係者は「仕事と両立しながらサッカーをするのが最大の特徴。“アマ最高峰”をさらに強く打ち出すべきだ」と語る。ただ、J3の誕生後もプロへの登竜門としての側面は残り、加藤専務理事は「プロを目指すクラブの行く手を阻もうと企業チームなどが奮起し、リーグが活性化してきたのも事実だ」。“プロ予備軍”を決して排除できないのが実情だ。