社民党の福島瑞穂党首が辞任した…
社民党の福島瑞穂党首が辞任した。土井たか子氏からバトンを受け継いでちょうど10年。先日の参院選で議席を減らし、所属議員は衆参合わせて5人にまで落ち込んだ。5人といえば政治資金規正法の政党要件ぎりぎりだ
▼社民党は今年初めに党本部を引っ越した。前身の旧社会党のころから「三宅坂」の名称で親しまれた旧党本部は老朽化が激しかった。自民党と55年体制を担った政党の「今」を重ね合わせると感慨を禁じ得ない
▼「自社」対決型の55年体制が終わった後、陰に陽に政界の主役の一人を務めた小沢一郎氏の「今」も感慨を誘う。党代表を務める生活の党は今回の参院選では議席ゼロに終わった
▼政界を見渡せば、こんな俳句が浮かぶ。〈松風にふやけて疾(はや)し走馬燈〉(原石鼎)。夏の夜店の走馬灯のようにあれやこれやが脳裏を巡る。民主党の栄華も今や昔。首相経験者の処分が議論される事態に及んで感慨深さが一層増す
▼気がつけば、自民党がひとり巨大になった。非自民の細川政権誕生から20年。それからずっと続いた攻防は、2度下野した党の巨大化という形にたどり着いた。こうなると予想した人はどれくらいいるだろう
▼憲法、原発、環太平洋連携協定(TPP)…。巨大政党と対峙(たいじ)できる重要課題に沿った野党再編の動きでもないと、夏の政局は気の抜けたビールのようになってしまう。〈ビール酌みうそも真も聞きながす〉(福永みち子)
=2013/07/27付 西日本新聞朝刊=