企業の情報システム部門にとって喫緊の課題は、増大する運用費の削減だろう。IT予算の実に7割が既存システムの運用管理に割かれていると言われる。ITがビジネスを左右する今、運用管理に多くのパワーを割かれることは企業の競争力の低下を招きかねない。こうした中でIBMが提供しているのがIBM PureSystems(以下、PureSystems)であり、そのアーキテクチャーを取り入れたブレードサーバーがIBM Flex System(以下、Flex System)である。ここでは前編と後編の2回にわたってFlex Systemのメリットと導入事例を紹介していきたい。
企業の情報システム部門にとって喫緊の課題は、増大する運用費の削減だろう。IT予算の実に7割が既存システムの運用管理に割かれていると言われる。ITがビジネスを左右する今、運用管理に多くのパワーを割かれることは企業の競争力の低下を招きかねない。こうした中でIBMが提供しているのがIBM PureSystems(以下、PureSystems)であり、そのアーキテクチャーを取り入れたブレードサーバーがIBM Flex System(以下、Flex System)である。ここでは前編と後編の2回にわたってFlex Systemのメリットと導入事例を紹介していきたい。
PureSystemsは、サーバー、ストレージ、ネットワーク、そしてソフトウェアが一体となって提供される垂直統合型システムである。日本IBMでPureSystemsの事業推進を担当する佐々木言氏は「PureSystemsの最大の狙いは、ITインフラの効率化とサービスの迅速な提供にあります」と語る。
仮想化プールによるIT共通基盤を構築することで、どんなワークロードにも対応できるプライベート・クラウド環境を提供し、新規のシステムの迅速な立ち上げだけでなく、サイロ化された既存システムの統合も実現できる。
現在、PureSystemsには3つの製品ラインアップが用意されている。IBMのクラウド技術を駆使して、迅速なITインフラの構築を可能にするIaaS基盤としてのIBM PureFlex System、それに加えてデータベースやアプリケーション・サーバーなどのミドルウェアを搭載し、アプリケーションの短期稼働を可能にするPaaS基盤としてのIBM PureApplication System、そして高速かつ大量のデータ処理向けのIBM PureData Systemである。
PureSystemsに共通する特長は、そのオープン性にある。たとえば、サーバーのプロセッサーにはx86プロセッサーとPOWERプロセッサーの2種類が用意され、仮想化のためのハイパーバイザーにも豊富な選択肢が用意されている。「他社の垂直統合型システムでは、こうした選択肢があってもどれか1つを選ばなければなりません。しかし、PureSystemsではノードごとに選択し、全体として共存させることができます。こうした幅広い使い方に対応している点も他社製品との大きな違いです」(佐々木氏)。
このPureSystemsのアーキテクチャーを継承しながら、より柔軟な提供形態を実現したのが、ブレードサーバーを中心に構成されるFlex Systemである。PureSystemsでは、ラックからシャーシ、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器、システム管理ツールがすべて一体となって提供されているが、Flex Systemでは最先端のハードウェアを必要なコンポーネントごとに導入することができる。当然、スモールスタートも可能だ。
Flex Systemの第1のメリットは、豊富な選択肢の中からサーバーやストレージ、ネットワークを個別に導入しながら、同時に一体型の運用ができることだ。
サーバーは、x86プロセッサーを搭載したものとPOWERプロセッサーを搭載したものが選べる。両方を同じシャーシに収めることも可能だ。OSはWindows、LinuxとAIX、IBM i、ハイパーバイザーとしてはLinux KVM、VMware、Microsoft Hyper-V、そしてPowerVMなどがサポートされている。またストレージはIBM Storwize V7000やシャーシ内蔵可能なIBM Flex System V7000が利用でき、ネットワークは他社製品との相互運用が可能なIBM Flex System Fabricによって、Ethernet、Fibre Channel、InfiniBandが利用できる。
こうした構成要素の幅広い選択肢に加えて特筆すべきなのが、1つの管理コンソールから物理リソースと仮想リソースのすべてを統合管理する専用アプライアンス、IBM Flex System Manager(以下、FSM)の存在だ。シャーシのハーフサイズの部分に収まるこのコンポーネントを導入することで、複雑な構成要素をシンプルかつ簡単に管理し、ワークロードに合わせてリソースを最適化できる。
佐々木氏は「選択できるコンポーネントと、運用全体を一元管理できる仕組みの両方を提供しているのはIBMだけです」と強調する。1つのFSMで複数のシャーシをまたがって管理することができるのも大きなメリットだ。FSMにログインすると、シャーシの写真が現れ、マウス操作で対象部分の障害の状況やソフトウェアのバージョン情報などがひと目でわかる。
仮想サーバーもハイパーバイザーの違いを超えて一覧表示され、稼働状況が確認できるとともに、再配置や停止が一覧表上で操作できる。また、仮想サーバーを立ち上げて、ストレージやネットワークを最適な形で割り当てることも自動化されている。「これまで別々の管理ツールを使って人手で作業をしていたことを考えると、大幅に管理作業の工数を削減できます」と佐々木氏はそのメリットを強調する。
ストレージについても一元管理され、利用可能なストレージが表示される。「外部に接続したストレージについてもFSMを通して管理することができるので、拡張性を確保することができます。こうした拡張性も他社の垂直統合型システムにはないメリットです」(佐々木氏)。
もう1つのこだわりが、Flex Systemのコンポーネントを格納するシャーシにある。IBM Flex Systemエンタープライズ・シャーシと呼ばれるシャーシは、10ユニット・サイズに最大14台のサーバーを搭載できる。背面には4つのスケーラブル・スイッチ・ベイ、最大10個の冷却用ファンなどが装備されている。
このシャーシの素晴らしさは、サーバー間の高速ネットワークを余裕でこなすネットワーク機能にある。「仮想化を前提に設計され、今後10年間を見据えてネットワークの効率性を高めています」と佐々木氏は語る。
それを象徴するのが、同一シャーシ内の仮想サーバー間で遅延1マイクロ秒以下を誇る低レイテンシーだ。1サーバーあたり最大80ギガbpsのネットワーク・アダプターと、内部バス内の最大1120ギガbpsという広い帯域、そしてシャーシ外通信に対する880ギガbpsの帯域の組み合わせで実現している。
「仮想化によってネットワーク内トラフィックのボトルネックとなるポイントのレイヤーが変わってきています。Flex Systemでは大容量メモリーを搭載し、仮想化を前提にシャーシを設計することでボトルネックを解消し、低いレイテンシーを実現しているのです」と佐々木氏は説明する。そこには長年、仮想化システムに取り組んできた同社のノウハウが生かされている。
こうした高速ネットワーク性能を備えたPureSystemsでは、サーバーもネットワークも余すところなく活用される。結果として、仮想化システムの高速処理と、サーバーの高い集約率がもたらされる。Windows XPのサポート切れに合わせて、仮想デスクトップを導入する企業の多くでPureSystemsが採用されている理由もそこにある。
佐々木氏は「600ユーザー程度であればサーバー5台で対応でき、3カ月以内での導入も可能です。ハードウェア予算も1000万円以下で済むでしょう」と話す。IBMでは仮想デスクトップの導入にあたって、どんなハード構成や移行プロセスが必要になるかを検討するためのひな型である「リファレンス・アーキテクチャー」を公開している。自社の場合はどうなるかを想定するためにも、ぜひ利用してもらいたい。
“利便性の向上”や“管理の効率化”など、多くのメリットがあると言われる「仮想化」。しかし、そう上手くいくことばかりではありません。詳しく調べてみたり、実際に導入してみたら「やっぱり仮想環境の管理は大変だ…」と思ってしまった方も多いはず。システム管理が“ラク”になるということは、運用コスト削減という“トク”につながります。今回は、仮想環境導入で陥りやすい課題と解決策を紹介しましょう!
大塚グループの主要企業として、1963年に創業した大鵬薬品工業株式会社(以下、大鵬薬品)は、医療用医薬品とヘルスケア製品を主力に企業活動を行っています。経口抗がん剤のパイオニアとしてがん治療の概念を一変させ、がん化学療法のエビデンスを確立し、日本におけるがん治療薬のリーディングカンパニーとなっています。さらに米国、中国、シンガポールに現地法人を設立しグローバル化を推進、研究開発と経口抗がん剤の販売を積極的に行っています。