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<伝説の踊り子>一条さゆりを偲ぶ会 8月3日、大阪で

毎日新聞 7月29日(月)15時7分配信

 ストリップ界の女王として名をはせた一人の女性が16年前、「釜ケ崎」(大阪市西成区)で亡くなった。一条さゆり(本名・池田和子)、享年60。十七回忌に当たる来月3日、伝説の踊り子を偲(しの)ぶ会が釜ケ崎の立ち飲み屋で開かれる。呼びかけ人で写真家の川上譲治さん(63)は「波乱に満ちた彼女の生きざまに、もう一度スポットライトを当てたい」と話す。

 一条さゆりは1960〜70年代に一世を風靡(ふうび)し、72年5月に大阪市内の劇場で引退公演中、公然わいせつ容疑で現行犯逮捕された。裁判では「ストリップは健全な大衆娯楽で、わいせつではない」と主張。最高裁まで争って服役し、「反権力の象徴」と言われた。出所後は西成区の古いビルの3畳一間で暮らし、88年に勤めていた居酒屋で客に放火されて大やけどを負うなど不遇な日々を送った。97年8月3日、肝硬変のため死去。葬儀では親しかった多くの労働者らが別れを惜しんだという。

 川上さんは東京都新宿区にあったストリップ劇場の元興行師で、75年から30年余り業界に身を置いた。廃業後、「劇場と同じにおいがした」という釜ケ崎の「非日常性」に魅せられ、島根県浜田市の自宅から通い始めた。一昨年から簡易宿泊所に泊まり込み、労働者の表情や路上の風景を撮り続けている。

 十七回忌を思い立ったのは一昨年夏。地区の合同慰霊祭に出た際、「釜ケ崎ですら彼女の存在が忘れ去られようとしている」と感じた。「観客が減ってストリップ劇場は存続の危機だが、まだ100人を超す踊り子がいる。この世界に大スターがいたことを伝えるのが私の務め」と話す。

 偲ぶ会は西成区萩之茶屋2の「難波屋」で。路上芝居「谷間の百合」(さすらい姉妹)、舞台役者の一色凉太さんの語りなどもある。午後5時と午後8時半開演(入れ替え制)。参加費はワンドリンクと投げ銭。問い合わせは川上さん(080・6337・8058)。【一色昭宏】

最終更新:7月29日(月)15時25分

毎日新聞

 
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