バルサルタンの医師主導臨床研究に関して
2013年7月29日
バルサルタン(製品名:ディオバン®)の医師主導臨床研究について、弊社では社内調査に加えて、4月より独立した第三者外部専門家による調査が行われてきました。このたび、外部専門家の調査が終了し、7月29日に記者会見を行いました。 つきましては本サイトにおいて、記者会見の冒頭で弊社社長が述べたお詫びと見解、ならびに調査報告書*(「バルサルタンを用いた5つの医師主導臨床研究におけるノバルティスファーマ株式会社の関与に関する報告書」)を公開します。
*この調査報告書には、第三者外部専門家による調査報告(第3章)が含まれています。これは、ノバルティスファーマの本社であるNovartis Pharma AG社から独立した調査を委託された第三者法律事務所により作成されたものです。
【社長記者会見要旨】
このたびは、患者さま、ご家族、医療従事者の皆さま、および国民の皆さまに大変ご心配とご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
日本で2001年から2004年の間に開始された、バルサルタンの5つの医師主導臨床研究において、弊社の元社員が関わり、かつ研究論文への開示が適切に行われていなかったことをお詫び申し上げます。これによって、日本の医師主導臨床研究の信頼性を揺るがしかねない事態を生じさせたこと、また、これらの5つの研究の論文を引用して、バルサルタンのプロモーションを行ったことにつきましても、お詫び申し上げます。
弊社では、今回の事態に至ったことを深刻に受け止め、これまで社内調査、第三者による調査が行われてきました。このたび、第三者による、元社員を含めた弊社日本法人を対象とする調査が終了しましたので、結果をお伝えします。
この調査では、残念ながら真相を完全に解明するには至っておりません。弊社としては、この件については決してうやむやにせず、判明したことは誠実に皆さまにお伝えしたいと考えております。
先日の、京都府立医科大学の調査結果の発表によりますと、論文のデータに何らかの操作があったとされています。弊社はこの発表について重く受け止めております。しかし、本研究が医師主導のため、データを持っていない弊社としましては、調査にも限界があります。7月16日、私から京都府立医科大学に対して、協力して真相を解明したいと申し入れる手紙をお送りしました。
また研究に関わっていた弊社の元社員につきましては、本人はこれまで、弊社と第三者機関の10時間以上に及ぶ聞き取り調査に答えているので、改めて大学の調査に応じる必要はないという立場でした。しかし、弊社としては、本人に対し、会社の調査だけではなく、大学の調査に協力する重要性が増していることを伝えてきました。また7月16日には、社長名で本人に調査に協力するよう要請を行いました。その結果、最新の状況では本人がその重要性を理解し、大学による調査に応じることに前向きになっております。
弊社としては、今回の件で患者さまからも多数のお問い合わせをいただいており、誠に申し訳なく思っております。ただし、今回問題となっている医師主導臨床研究は、バルサルタンの承認後に実施されており、降圧剤としてのバルサルタンの有効性、安全性は確認されております。このことは、改めてご理解いただきたいと思います。
今回の医師主導臨床研究で検討された心血管系イベント(脳卒中、心筋梗塞など)の予防効果の研究は、海外では先行して実施されていました。その後、海外では高血圧症の効能に加えて、心筋梗塞後の治療および心不全の治療薬として追加効能が認められました。そのような環境の中で、日本でもバルサルタンが医師主導臨床研究の研究対象に取り上げられたものと理解しています。とはいえ、弊社の元社員がこれらの臨床研究に関与し、未だに真相究明に至っていないことで患者さまが不安に思われていることにつき、大変申し訳なく思っております。
私たちは製薬会社として、高い倫理観を持って社会的責任を果たすことを求められています。今後、あらゆる調査に全面的に協力して真相の解明に当たり、私たちの責務として、二度とこのようなことが起こらないよう、再発防止を徹底してまいります。
患者さま、ご家族、医療従事者の方々、国民の皆さまからの信頼をいただけるよう、全社を挙げて不退転の決意で取り組んでまいります。
改めて、ご迷惑、ご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
※過去にホームページに掲載しておりましたバルサルタンの医師主導研究に関する弊社見解は、記者会見で表明した会社見解をもって、すべて削除させていただきました。
これまでの見解において、時に、限られた情報による説明不足の点がありましたことをお詫びします。