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ルパン三世 第4話「脱獄のチャンスは一度」
物語。工事現場に眠るお宝を奪いに行ったルパン、次元、そして不二子。財宝奪取には成功したものの、ルパンが銭形に捕まってしまう。死刑と決まったルパンを不二子が刑務所から救い出そうとするが、その都度次元が阻止する。ルパンが自力で脱獄すると信じていたからだ。だが1年が経ち、刑の執行が迫ってもルパンは動かない。さすがの次元も少し不安になるが、それ以上に焦っていたのは銭形だった。ルパンは何故脱獄しようとしないのか。まさか本当に?やがて死刑当日が訪れる…。
お待ちかね、シリーズ最高傑作の登場。テーマ、ストーリー、演出、台詞の端々に至るまで文句の付け所なし。なので黙って鑑賞すれば十分なんですが、そうもいかないので一応何か書いておきます。
まず、この回からOPが例の、
「俺の名はルパン三世。かの名高き怪盗ルパンの孫だ」で始まり、
「今週はどんな事件を巻き起こしてやろうかな…」
で終わる、ルパン=山田康雄さんのナレーションバージョンに変わっています。
尤も、ここまで3話のルパンは、まだ何も自分からは事件を起こしていないんですけどね。 1話目ではスコーピオンのお膳立てに乗っただけだし、2話目、3話目は不二子がきっかけで巻き込まれて行っただけ。勿論本業の泥棒は一度も働いていません。怠惰な日常と戯れ、気の赴くまま刺激を求めて事件に飛び込んでいく、まさに泥棒貴族らしいライフスタイルだったのですが、今回はいよいよやる気を出したのか、いきなり前置きなしでお宝を盗みに行くシーンから始まり…そして銭形にあっさり捕まってしまいます。
「あの時のお前さんの哀れな姿は見物だったぜ」
と、念願のルパン逮捕を果たして喜悦する銭形。屈辱にまみれたルパンは復讐を誓います。後年の生温いルパンと銭形の関係では考えられませんが、しかしこれが本来の姿でしょう。ルパンは泥棒で銭形は警官。互いのレーゾンデートルを賭けても相手の全存在を否定する敵同士です。従って、やられたら、やり返す。それがルパンのプライドであり、またライバルに対する当然の礼儀でもあるのでしょう。
刑務所に囚われ、死刑と決まったルパン。しかし相棒の次元も、そして敵である銭形も、ルパンが必ず脱獄すると確信しています。2人がそれぞれ逆の立場ながらルパンを”信用”しているのが印象的です。対照的に焦る不二子には、まだルパンの本質がよくわかっていなかったのでしょうか。
「ルパン様の昼寝のジャマだ」
不二子をたしなめる次元の台詞が、カッコイイ。
しかし肝心のルパンはどうしたことか、「俺はルパンじゃな~い!」と叫ぶばかりで、一向に脱獄しようとしないまま季節が過ぎていきます。
秋、冬、春、そして夏…。
刑務所前を通過する和尚の乗り物がグレードアップするのと同様にルパン救出の手段をエスカレートさせる不二子と、その度に悠然と邪魔をする次元。一方、段々に焦りの色を濃くして行く銭形。
このあたりは、最後のギリギリの瞬間までは何も起こらないこの物語を淡々と、しかしドラマチックに仕立てています。
特に、ルパンに対する銭形の複雑な愛憎感情をじっくりと描いているところが見所。
そして遂にルパンの死刑執行の日。
さすがにちょっと心配になった次元が例の和尚に化けてやって来て(あの和尚はそう言う役割だったのか!)、死刑直前のルパンと交わす会話、
「素晴らしいゲームを楽しんでるのさ。処刑か脱獄か。万に一つの失敗も許されない、際どいゲームをな」
「わかったよ…。お前はうまれつき贅沢なんだよな。好きにするさ」
は、最高に格好いいシーン。ルパンの美学、それを「贅沢」と言う一語で表現し、了解する次元。男同士のクールな友情とダンディズムにあふれています。別れ際、ルパンのタバコをつけてやる次元。最後になるかもしれないこの時に目と目で会話する2人の胸に去来する感情は何であったか。
さて、いよいよ土壇場でルパンが取った脱獄の手段、それは看守と入れ替わることだったわけですが…、ここでルパンが銭形に対して死刑の方法を間違えて言ったのは、うっかりなのか、わざとなのか。人により見方が分かれるところでしょうが、私はわざとだと思います。と言うのは、ルパンの目的は銭形に自分と同じ屈辱を味あわせること、つまり「あの時のお前さんの哀れな姿は見物だったぜ」と言う銭形の言葉をそっくりお返しするなんですから、銭形が偽者をルパンと思い込んだままでは意味がありません。今、電気椅子にかけられようとしているのが偽者と知って、真っ青になって慌てふためく銭形の「哀れな姿」を「見物」にしてこそ溜飲が下がるというものでしょう。従って、身代わりになった看守を救ってやると言った人道主義が目的ではないし、あったとしても、付随的なことです。
まんまと脱獄に成功して刑務所の正門から堂々と出てきたルパン。でも出迎えた次元はもう、殊更に喜色を表す事はありません。一方、ここでも不二子は対照的。ルパンが死んだと思い込んで、ひとり感傷的に愛の「告白」。「待っていた男」の友情と「待てなかった女」の愛。しかし形は違ってもそれぞれルパンとは深い絆で結ばれています。
最後は、あれほど苦労して手に入れて一年間も待ち続けたお宝が槿花一朝の夢。儚く小判が空に舞い消えてしまいます。呆然とするルパンと次元でしたが、やがて、さっきとは逆にルパンが次元のタバコに火をつけてやって一言、「御仏の慈悲だ」。お宝は失っても自由を得た喜び、溢れる安堵感、さっきまでの生死の境目で張り詰めていた空気を一瞬に溶解させるにくい演出です。肩を組み高笑いしながら走り去っていくルパンと次元。2人が一緒ならどこまでも行ける!この終わり方も最高です。
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テーマ:
アニメ
- ジャンル:
アニメ・コミック
【2012/02/12 13:53】
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