[東京 27日 ロイター] - 来年4月に3%の税率引き上げが予定されている消費増税をめぐり、増税幅を毎年1%ずつ小刻みに引き上げていく案などについて、政府が経済への影響を検証するなど具体的に検討する可能性が浮上している。複数の国内メディアが27日に報道した。
2015年10月のさらなる2%引き上げを含め、短期間で大幅な増税による景気への下押しが、安倍晋三首相の周辺で懸念されるためだ。ただ、そうした案が選択された場合、日本国債に対する信認が揺らぎ、かえって景気や財政に悪影響を及ぼす可能性が、政府関係者からも指摘されている。
毎年1%ずつの税率引き上げなど小刻み増税案は、安倍晋三首相の経済ブレーンである本田悦朗、浜田宏一の両内閣官房参与らがかねてから主張してきた。予定されている2年で5%の増税は、個人消費の冷え込みなど経済へのショックが大きく、日銀による異次元緩和や財政出動によるアベノミクス効果が腰折れし、高まりつつあるデフレ脱却期待を後退させる恐れがあるとの見方だ。
こうした中で27日、複数の国内メディアが、政府が税率の引き上げ幅や時期に関して毎年1%ずつなど小刻みな増税案を含めて景気や物価への影響を検証する方向で検討に入ったと報道。
これに対し、安倍首相は同日に訪問先のフィリピンで行われた記者会見で、複数案を検討するかとの質問に「そういう指示はまだしていない」と語ったが、増税判断は「しっかりと経済を成長させること、デフレからの脱却、同時に財政再建を進めることを勘案しながら、経済指標を見ながら内閣として私が適切に判断していく」と慎重に行っていく考えを表明。8月12日公表の4─6月期国内総生産(GDP)速報や9月9日の同2次速報(改定値)などを踏まえ、今秋に判断を下す考えをあらためて表明した。