原発地下水流出 漁業者が批判7月23日 18時37分
福島第一原子力発電所で放射性物質を含む地下水が海に流出していると、22日に東京電力が認めた問題で、23日、東京電力の担当者が、いわき市で開かれた漁業者の会議で直接説明しました。
漁業者側から、今後の漁の再開への影響を懸念する声など批判が相次ぎました。
会合には地元の漁業者およそ100人が集まり、東京電力の新妻常正常務が出席して、汚染された地下水の海への流出について謝罪しました。
説明会は冒頭以外非公開で行われ、出席した漁業者によりますと、東京電力が地下水が海に流出していると判断した根拠を説明するとともに、海の中での広がりが限定的という見方や、汚染された地下水などが海に流れ出ないよう海沿いに壁を作る対策を急いでいることなどを説明したということです。
しかし、以前から指摘されていた流出を東京電力が遅れて認めた格好となり、漁業者側からは「前から知っていたのに隠していたのではないか」とか、「説明が変わり信用できない」などと対応を批判する声が相次いだということです。
いわき市では、原発事故の影響で自粛が続いている漁の試験的な再開を9月から目指していて、汚染水の海への流出が消費者の不安につながることを懸念する声も聞かれました。
説明会のあと、出席した漁業者は「説明を聞いて先が真っ暗になった」「怒りしかない。東京電力は信用できない」などと話していました。
いわき市漁協の矢吹正一組合長は「今回の問題は、これからやろうとしている試験的な漁にとって大きな壁だ。一つの器の中で『ここは汚れているが、ここはきれいだから食べてください』と、そのような無責任なことはできない。試験操業に急ブレーキがかかってしまった」と話しました。
漁連会長 強い危機感
福島県漁連の野崎哲会長は「汚染水が海に漏れるおそれがあるというのと、漏れているというのは全然違う。政府による冷温停止の収束宣言の撤回か、新たな緊急事態として国に対策を練ってもらわないと、東電だけでは対応できないのではないか」と強い危機感を示しました。
東電常務「おわびしきれず」
説明会のあと、東京電力の新妻常正常務は「汚染水の問題は漁業者にとって大きな不安です。おわびしてもおわびしきれません。1つ1つの対策を早く行っていきたい」と述べました。
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