2013年7月28日日曜日

重いうつ状態の時にしてはいけないこと【自宅警備員日誌vol.04】

ねこに助けられることが多かった
前回前々回で書いたとおり、電話の予約や、初診でのチェックポイントをクリアして、私が通うべき精神科が決まりました。
 最初の診察で、先生は「あなたが今するべき重要なことは、眠ることです。眠るためのお薬を出します。一週間後に会いましょう」と言いました。

 うつ状態が重くなった時に自覚したことは、
「やる気が全く出ない。何も面白いと感じない」
「文字が読めなくなる」
「身体がフリーズして動けないのに眠れない」
「感情のコントロールがきかず、些細な事で激怒したり号泣する」
「段取りが悪くなり、服を着るだけでも何時間もかかる」
「自分がベランダから飛び降りるシーンを克明にイメージする」
などです。
 そういう感情が絡まった糸のようになって「わけがわからない」状態が、はじめて精神科にかかったときの私でした。
 先生は「とにかくまずは寝なさい」とアドバイスしてくれたので、私はそれを守ることにしました。
 寝ることがうつの特効薬だと私も実感しているのですが、その他にも治療の上でこんなことに気をつけています。あくまでも「私の場合」ですが、良かったらお読みください。


重いうつ状態の時にしてはいけないこと


①辞表を出さない。

人間関係や仕事を「整理したくなる」のが、うつの特徴なのかもしれません。
「自分なんてどうせ嫌われているし」「仕事で結果を出せないし」「朝、起きられず出社が夕方になってしまうし」…グルグルと考えた結果「会社をやめよう」、というのが私の結論でした。
 今もそれは変わっていないのですが、まずは医療機関で治療を受けて、「辞めたい」という考えが妥当なものかどうか、冷静になった頭でもう一度考えなおしてみる必要があると思っています。
 眠れるようになり、食べられるようになった今では、過去の「自分の思い込みの激しさ」に驚く場面があるので、「会社を辞めなければならない理由」も、もしかしたらネガティブすぎる物事の捉え方をしていた結果かも知れないと今では考えています。
 みなさんも、辞表を出す前に、まず病院に行きましょう。
 他に、学校をやめる、友人と絶交する、親と絶縁する、家を引っ越すなども同じ心の動きから起こる「整理したくなる」欲求だと思います。これも衝動的にはせずに、まず精神科にかかって治療を受けてみてから決めても良いと思います。

②薬の効能を調べない。

当然ですが、医師は、患者よりも病気に詳しいです。医療系のQアンドAサイトが発達しすぎたせいか、そう思わない患者さんが増えているのかもしれません。患者本人が自己診断をして、それが医師と違う見立てだった場合、医師のほうが間違っていると思い込むとしたら、それはそれこそ間違った考えだと思います。最初のつまづきになるのは「医者からもらった薬が分かる本」を読むことだと思います。どんな薬かを調べ、自分が気に入った薬ではない場合、一気に医師不信に陥るのでは治療を受ける意味がありません。予約の電話や初診のチェックポイントをクリアして自分が選んだ医師は、自分にとって信頼出来る医師のはずです。
 また、はじめに出された薬が、自分にとってのベストの薬だとは限りません。医師は問診を積み重ねて薬の調整をしていきます。はじめに出された薬が「期待通りではなかった」としても、それが医師の見立てなのです。まずは一週間から10日、試しに飲んで様子を見てみましょう。

③「うつの友達の意見」を先生よりも優先しない。

「うつの友達」がほんとうに「うつ」であるとは限らないので、彼らの意見を、自分が決めた主治医の意見より優先させるのはやめましょう。
 とくに「抗鬱剤をやめろ」という友達には要注意です。彼らはうつではない可能性が高いです。たしかに、抗鬱剤「だけ」ではうつ病は治らないと思います。生活習慣や考え方のくせも訓練して変えていかねばなりません。しかし、元気になる「起爆剤」は抗鬱剤以外にありえません。うつは、悪化すると妄想や幻聴を発したり、人格が荒廃したり、アルコール依存を併発する恐ろしい病気です。また、自殺のリスクも一般の人の数倍あると言われています。そのような病気を持ってしまったうつ病患者に対して、安易に「薬を飲ませる医師は信用出来ないからやめろ」という友人には、「ありがとう」と一言御礼を言ってから、治療の相談をするのはやめたほうが良いでしょう。
 あまりにもしつこく電話がかかってくる、メールで様子を聞かれるなどの「心配症の友人」もうつをわかっていない人です。電話には出られないし、メールも返せないのが重いうつ状態であり、返信をちゃんとできない自分を情けなく感じ更に追い込まれてしまいます。こんな友人に困らされている場合は、はっきり連絡を自粛してくださいと言っても良いと思います。それで縁がきれたとしたら、それはしかたのないことです。

④自分磨きをしない。

これは、初診時に先生に言われたことです。
「あなたは幸い正社員なので、休んでも身分が保証されます。でも、長い夏休みだとか、リフレッシュ休暇だとか、そういう勘違いはしないでください。とにかく、休みの間は病気を治すことです。マラソンで皇居を走れるようになろう、とか、勉強して資格を取ろうとか、考えてはいけません。とにかく今はまず眠れるだけ寝ること。そうしているうちに、睡眠時間が適正に戻りますから」。
 私はこの通り実行しました。時には「寝てばかりで本当に治るのか」と暗い気持ちになりましたが、先生の言葉を信じてひたすら眠りました。

⑤昼夜逆転の生活をしない。

治療期間、ひたすらずっと眠っているわけです。そうするとだんだんと昼夜が逆転した生活になってしまいます。太陽はうつの特効薬です。太陽を浴びることで目から脳に信号が送られ、セロトニンという人間のやる気の素となる物質が生成されます。夜起きて昼眠っていては、うつがいつまでも治らないことになってしまいます。私は夜11時には睡眠薬を飲み床につくようにしています。
 冬の日照量の少ない北欧では、「冬季うつ」は風土的な疾患として認知されているほどです。積極的に太陽を浴びましょう。


次回は「抗鬱剤を飲んでいる時にどうなったか」です。




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