28日まで名古屋グランパスの練習に参加した明大4年のMF矢田旭(22)が“出戻り入団”をアピールした。グランパスのユースで育ち、大学で一回り成長したテクニシャン。主力選手の評価は上々で、矢田は「帰ってきたい」とグランパス入りを熱望している。
当初は2日間だけの予定だった練習参加は、「今は大学の練習が休み。それならこっちでアピールしたい」と言う矢田の強い希望で4日間にのびた。何とか古巣へ戻りたいという執念はプレーのそこかしこに。ミニゲームではゴールを奪取。左足からは質の高いパスを何度も繰り出した。
明大の先輩にあたるMF小川は「Jリーガーに混ざってもビビっていない。高校時代も知っているけど、4年間で大人になった」と高評価。同じレフティーのMF藤本も「ギリギリのところで判断を変えられる」と褒め言葉を贈った。
三重県出身で幼いころからグランパスにあこがれた。中学でユース入りがかない、トップチーム昇格を目指した。高3時は司令塔としてけん引。一度は昇格が具体化しかけたが、チーム事情で見送られたという。
「昇格を逃した悔しさがモチベーションになった」と矢田は言う。大学入学後は線が細かった体をトレーニングで増量。天才肌の左足にも磨きをかけた。現在は強豪・明大で10番を背負う。実力でグランパスの練習参加までこぎつけた。
矢田の獲得についてクラブ側は今後慎重に判断する構えだが、グランパスU−18から阪南大を経て今季新加入したDF本多が序盤戦で早くも戦力として貢献した好例もある。“出戻り”への考え方はポジティブだ。
矢田は「大学4年間でレベルアップした。プロでやりたい」と熱い。生粋のグランパス愛は成就するか。 (木村尚公)
【矢田旭(やだ・あさひ)】 1991(平成3)年4月2日、三重県四日市市出身の22歳。170センチ、64キロ。名古屋グランパスU−15、U−18では中心選手として活躍。明大では1年時からレギュラー。左利きの技巧派MFでパスセンスに秀でる。好きな選手はベイル(トットナム)
この記事を印刷する