何となく思いついたこと、目についたことをツラツラと…。
プロフィール
高木圭介
昭和44(1969)年6月4日、神奈川県川崎市生まれ。神奈川大学レスリング部を卒業後、1993年に東スポ入社。プロレス&格闘技、社会、レジャー、特集部などを担当後、現在は運動部所属。 2006年10月、本紙携帯サイト「東スポ芸能」のスタートと同時に当コラムはスタート。2009年10月から晴れて、紙面でも連載開始。世の中の重箱の隅を愛する〝長期連載〟。
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415:追悼・西沢利明さん~ホラ吹き大将故郷に帰る
2013年07月19日

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<2013年4月=東スポ携帯サイトより>

 最近、歌手・森川由加里との再婚が話題となった布施明の若き日のヒット曲と言えば、竜雷太主演の青春ドラマ「これが青春だ」(昭和41年・日本テレビ)の主題歌だろう。

 

 この主題歌。ドーナツ盤で聴くと、どこか哀調を帯びたイントロから「♪大きな空に梯子をかけて 真っ赤な太陽 両手でつかもう~」と布施明の朗らか過ぎる歌声が響きわたる。

 

 ところが当時発売されたLP盤「これが青春だ」(主題歌だけでなく竜雷太、岡田可愛、松本めぐみらが歌う挿入歌も収録)を聴くと、少々ビックリさせられることになる。

 

 1曲目は、やっぱり布施明が歌う主題歌なのだが、イントロに入る前に「大岩雷太先生の訓示」なるモノが録音されており、レコードの針を落とすと同時に「人を信じない奴を俺は嫌いだ!」と竜雷太が演ずるカミナリ先生こと大岩雷太先生にカミナリを落とされてしまうという構成なのだ。

 

 その後、訓示…と言うより説教は「人に騙されるのを恐れるのあまり、人を信じない奴を俺は嫌いだ。そんなのは若者の名前に恥じる。信じて騙された、何が恥ずかしい? 少しも恥じるべきところなどない。恥ずべきは最初から信じない奴、信じようともしない奴、努力しない奴、そういう奴だ。そういう奴こそ俺は認めない。若者として全く認めない。いいか、俺がお前たちに望むのは〝どろんこ紳士〟だ。みんな泥んこになれ、しかし紳士であれ!」と続き、ようやく主題歌のイントロが流れ出す。

 

 訓示の後半にある「どろんこ紳士論」はこのドラマの骨子であるし、実際に第2話「僕も私も劣等生」の冒頭、大岩雷太先生が南海高校での就任挨拶で生徒たちにかました有名な言葉だ。では「オレオレ詐欺」がこれだけ騒がれる現在、逆に教師としての倫理すら疑われかねない、前半の「若者は絶対に人を疑うな」的なアレは劇中、どの場面に出てきたモノなのか?

 

 実はこれ、第12話「ホラ吹き大将故郷に帰る」の中から引用された言葉なのだ。タイトルだけ見ると「???」だが、この回の脚本は意外や巨匠・倉本聰。南海高校の悪名高き山上理事長(山茶花究)が勘当したホラ吹き息子が故郷へと帰省し、色んな人物と会うが、誰にも信用されない。

 

 雷太が顧問を務めるサッカー部の面々にも「東京で行われるサッカーの東西大学対抗戦の入場券をプレゼントする」などと言うも、一人の部員も信用しない。そんなホラ吹き息子を唯一、雷太のみが信用し、生徒たちに例の訓示にあったような言葉を投げかけ、授業を打ち切って、一人で東京へと向かってしまう。

 

 最後は雷太の言葉に心を動かされたサッカー部員たちが、そろって上京し、駒沢公園のオリンピック記念塔の前で再会するという、青春ドラマならではの感動シーンで幕を閉じる。

 

 この誰からも信用されぬ、胡散臭いホラ吹き息子を演じていたのが、4月11日に肺がんのため亡くなった俳優の西沢利明さんだった。

 

 各紙の訃報記事には「宇宙刑事シリーズ」における銀河連邦警察の最高責任者・コム長官の名前が大きく扱われていたが、西沢さんの演じた役柄は圧倒的に知性派の悪役が多かった。 「ザ・ガードマン」でも「キイハンター」でも「Gメン’75」でも、時代劇の「水戸黄門」においてすらも、西沢さんはサギ師やスケコマシ的な悪役、犯人を演じていた印象が強い。

 

 幼少時から散々、西沢さんの悪役ぶりを見てきただけに「宇宙刑事ギャバン」(昭和57年)で、西沢さんがコム長官として登場した時にも「こいつは絶対に悪い奴。今にギャバンを裏切る」「最終回直前で、マクーの首領、ドン・ホラーの正体は、実はコム長官だったなんてオチでは?」と、うがった見方をしていたものだ。

 

 コム長官は西沢さんにとって異例中の異例な役柄だったことを忘れてはならない。合掌。

 



ネタになる!!
えー!?異議あり!!




みこすり半劇場
07月27日更新
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