放射能の恐怖を乗り越えた震災復興への動き 〜茨城、三重、山形など各地からEM応援隊が続々と現地入り〜 |
被災地福島県では、次々と明るみに出る食品の放射能汚染問題や放射能による健康不安のため復興への足取りは他の被災地に比べ遅いが、EMによる現地支援活動は着々と進められている。現地支援活動の動きをリポートする。
津波による流失設備の復活
いわき市四倉町は、EMによる河川浄化の先進地として有名であったが、今回の震災と津波によりEM培養タンクやポンプなどの設備を流失。5月にU−ネットのEM災害復興支援プロジェクトとしてEM培養設備の復活を実現している(U−ネット通信7月号参照)
破損排水溝へのEM活性液投入
いわき市金山町では、地震により破損した汚水パイプや住宅地の排水溝の悪臭解消のため、現地のボランティア団体からの要請により、5月中旬に茨城県取手市のNPO緑の会(恒川芳克、福留一徳氏)が1トンタンクでEM活性液を急遽搬入し、住宅地10箇所に散布している。
三重県のEMボランティア隊の現地入り
三重県のわくわく三重グループ(小川敦司、山路誠二、小野薫氏)は、震災地支援のため三重県の児童たちとつくったEM団子1万個、EM活性液5百リットル、EMボカシ3百キログラムなどを持参し、7月中旬にいわき市、郡山市などの被災地各所を廻り、現地から要望の出ていたキャンプ地や河川などへの投入作業を実施した。
わくわく三重とNPOいわきの森に親しむ会の
皆さん。後列左から小野、山路、小川さんと、
一人おいて華山芳朗、U-ネット世話人
悪臭が酷い排水溝へのEM団子と活性液の投入。
地元幼稚園児たちと
山形県からもEMボランティア隊
山形県からは、五十嵐諒U?ネット世話人(環境U−ネットやまがた代表)グループが宮城県石巻市を中心とした現地支援活動を、大沼孝己世話人グループが宮城県名取市及び福島県南相馬市での支援活動を、それぞれ活発に展開している。(五十嵐世話人グループの活動についてはU−ネットのホームページに詳しく紹介中)。
8月初旬には、大沼世話人グループ(大沼、安孫子雄一、伊藤孝憲氏)が武藤麻央U-ネット世話人からの要請を受け、悪臭対策のため南相馬市萱浜地区に、EM活性液1トン、EMボカシ1,800リットル、動力噴霧器2基を持参し、家屋や瓦礫の残る空き地や田畑に散布している。萱浜行政区長(西川原水利組合長)八津尾初夫氏も現場に駆けつけ、瓦礫が残り雑草に覆われた同氏所有の水田にも活性液とボカシを投入。現地の要請があれば今後も継続して支援していきたい(大沼氏談)という。
現場でのEM活性液散布。
魚船など瓦礫が残り雑草が茂っている
現地のみなさんと。
後列左から伊藤、武藤、大沼、安孫子氏
福島版EMジャブジャブ作戦
U-ネットでは、現地からの要請に基づきEM培養設備(百倍利器、1トンタンクなど)を、福島県内の各地に順次配備する。これはEMを活用した震災復興の支援活動を、長期かつ着実に進めるためのもので、購入資金には、国の内外から寄せられている支援金を有効に活用する。8月末現在までに郡山市、南相馬市、いわき市、田村市、伊達市、大玉村の6箇所に配備されている。
第2回「海の日」全国一斉EM団子・EM活性液投入集計 途中経過報告(2011年8月10日現在) |
7月18日の海の日から一ヶ月が経ち、ユーネット事務局には次々と活動報告が寄せられている。8月10日現在の途中経過を報告する。
今年は秋田県、和歌山県、岡山県、徳島県、大分県の5県が初参加。また、側溝、用水路や学校のプールなどへの投入も含めて集計しており、EM活性液は既に昨年の2倍以上の放流が確認されている。またEM団子はまだ昨年を下回るもののまずまずの数が報告されている。
今回の参加団体数、参加人数の途中報告は東日本大震災の影響もあり、まだ昨年を超えていないがその分これから送られてくる活動報告に期待が高まる(白抜きは未報告の県)。なお、すべての結果と詳細については11月号で報告させていただく。
団体数
人(人) EM団子(個) EM活性液(L) 8月10日現在 352 14,912 507,261 713,353 昨年の報告 326 15,000 530,000 320,000
第2回「海の日」全国一斉EM団子・EM活性液投入集計途中経過報告(2011年8月10日現在)
北海道
新しのつ
宮 城
気仙沼
秋 田
鹿角市
秋 田
鹿角市
東 京
日本橋
愛 知
名古屋 熱田区
愛 知
名古屋 熱田区
三 重
津市
三 重
津市
静 岡
浜名川
奈 良
奈良市 菰川
大 阪
道頓堀川
大 阪
道頓堀川
和歌山
橋本市紀見小学校
和歌山
伊太祁曽神社
徳 島
川をきれいに志隊
徳 島
林崎小学校
香 川
高松市 久米池
大 分
栃の市
大 分
裏川
佐 賀
鹿島市 横田堤
佐 賀
鹿島市役所
沖 縄
北中城
沖 縄
諸正聖後保育園
海を救う大実験 EMによる藻場再生 三重県紀北町から世界の海へ |
今年もEMの一斉投入が海の日(7月18日)に全国各地で実施され盛況であった。この全国一斉投入プロジェクトのリーダーであり三重県世話人の小川敦司氏がUネットの浜渕運営委員長らと練った企画が「藻場の再生で海をよみがえらせよう」である。これの第1弾として三重県紀北町で実験している白石湖のヘドロ削減・引本漁港及び引本浦神宮島沖での藻場再生プロジェクトについて、ご報告する。
EMによるヘドロ削減が期待される三重県紀北町の白石湖
白石湖に投入されたEMの効果を
潜水調査する
引本浦神宮島沖の海底に設置された鉄鋼スラグ製
漁礁にEMを船上から投げ入れる
引本漁港前の藻場再生実験場所に
EMを投入する
一番期待される白石湖のヘドロ削減
紀北町は三重県南部に位置し熊野古道の入口でもあり、原生林として有名な大台ケ原山を背にして熊野灘に面する自然豊かな町である。この町で平成22年10月から2年間の計画でEMによる海を救う大実験が進められている。このプロジェクトは三重県外湾漁業協同組合紀州南支所、ダイバーショップ「MTK」、紀北EM有志の会(山路誠二代表)のメンバーが進めている。これを支援しているのが紀北町、住友金属、Uネットである。
白石湖は幻の牡蠣といわれる「渡利かき」の産地であるから、メンバーの方々は「EMで蓄積されたヘドロを除去し、元のきれいな湖を取戻し、渡利かきをもっと多くの人に知って欲しい」という。漁協としてもこの湖の水質改善を一番期待している。EM投入後の湖底のヘドロを調査しているMTKの藤倉良彦氏は「EM団子の周囲がクレーター状に減っていたのには驚きました」と今後のEM効果に期待を寄せている。
世界が期待する引本漁港と神宮島沖の藻場再生
海の藻場再生は2か所で実験が行われている。1か所目は引本漁港の前、潮の流れが速いので藻が生えてもなかなか根付かない。しかし、EMを投入するとガンガゼ(ウニの一種)が食べに集まるという。次第に生態系が回復していくと期待される。2か所目は、引本浦の沖、神宮島近くの海底で住友金属が鉄鋼を作る際排出されるスラグのリサイクル製品が漁礁として有効利用できるかの実験場所。ここでEMとの併用による藻場再生の実験が行われている。
ボランティアで潜水調査をしている藤倉良彦氏は「ここでの成功例を外国に発表できれば、間違いなく世界中に広がる」と語った。また、こうしたプロジェクトに支援している尾上壽一紀北町長は「町としても厳しい財政の中から予算を出すからには是非とも成功させて漁業や観光の振興につなげたい」と期待する。