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【社会】

除染危険手当どこへ 未払い認めず「解決金」

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 東京電力福島第一原発事故の放射能汚染に伴う除染の作業員に支払われるべき危険手当の未払い問題で、雇用主の電興警備保障(埼玉県鶴ケ島市)は、作業員二十五人に「解決金」を支払った。未払い分相当額が支払われたことで、両者は和解したものの、電興は危険手当の未払いについては認めなかった。除染作業員の不透明な賃金問題は残った。

 作業員らは、昨年九〜十二月に福島県田村市で除染作業をした女性二人を含む三十〜六十代の二十五人。

 作業員らによると、当初、国から危険手当(一日最大一万円)が出ている説明もなく、内訳も示されないまま日当一万〜一万二千円が支払われていた。

 危険手当の存在が知られ、未払いが問題になると、危険手当一万円と日当五千七百円から、宿泊費や食費を天引きしたとする書類にサインするよう求められたという。

 作業員らは、未払い分の危険手当や残業代など計約千六百二十万円を電興に請求。そのうち危険手当計約千三百八十万円については、電興が当初、上位の会社から危険手当分を受け取っていないと回答したため、上位会社に支払う責任があるとして、元請け代表会社の鹿島(東京都港区)など三社にも請求したという。

 交渉の結果、電興は「解決金」として、請求とほぼ同額の計約千六百万円を作業員らに支払ったが、危険手当の未払いは認めなかった。作業員らは「納得いく形ではないが、これ以上長びいても…」(六十歳の男性)と和解に応じた。

 別の男性(57)は「除染現場では、最低賃金と危険手当を支払ったとするつじつま合わせの書類を雇用時に提示して、実質一万円前後しか払わない状況が横行している。国の払う手当は、作業員に直接払うようにすべきだ」と話した。

 電興は「諸般の事情により回答は控えさせていただきます」とコメント。元請け代表の鹿島は「危険手当は支払っている」とした。

<除染作業員の賃金問題> 危険手当未払いのほか、雇用主負担が原則の健康診断費や、除染作業には欠かせない草刈り機の講習代を自己負担させられていた人もいた。被ばく防止がずさんな現場も多く、防じんマスクが支給されず、一般的な性能の低いマスクを自分で買って着用していた人も。作業現場の放射線量を知らされない人も多かった。福島労働局の調査では、除染業者の68%に何らかの法令違反があった。

 

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