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【放送芸能】

ラジオでテレビ聴きたい 地デジ化2年で対応機種

 二〇一一年七月二十四日、東日本大震災の被災三県(岩手、宮城、福島)を除き、地上波がデジタル化されてテレビの音声がラジオで聴けなくなった。テレビの買い替えやアンテナ問題に比べると目立たなかったが、ラジオ愛用者には決して小さい問題ではなかった。あれから二年、根強いニーズに後押しされ、続々と対応機種が登場している。(宮崎美紀子)

 「地デジ化の被害者ですよ」と憤るのは都内の会社員・菅田肇さん(38)。愛用の携帯型ラジオでテレビが聴けなくなると知ったのは地デジ化の直前。朝見ているテレビの情報番組の続きを、通勤中にラジオで聴くのが長年の日課だった。

 「今はスマートフォンでワンセグ放送の音だけ聴いていますが、会社に着くころに電池が無くなってしまう」とぼやく。

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 本紙にも「テレビが聴けなくなるのは困る」という声が多数届いた。視覚障害者でなくても、ラジオでテレビの音声を楽しんでいた人は実は多い。それを証明したのが「TBSラジオショッピング」が売り出した「地デラジ」だ。

 「三月ごろ、ダイレクトメールや広報冊子で紹介しただけなのに、入荷待ちを含め三百台以上売れている」と発売当時の担当者、塩山雅昭さんは予想以上の人気に驚く。

 価格はAM、FM、テレビが聴けて八千九百八十円。TBSラジオに合わせると局のテーマ曲が流れる限定モデル。来月には、生島ヒロシの声で「TBSラジオ」などと読み上げる「生島モデル」の発売も予定している。

 もとになったラジオは、横浜市のパソコン周辺機器メーカー、エスケイネット社の製品。Dpa(デジタル放送推進協会)から、障害者はもちろん、補助金がもらえない一般の人も買える低価格のラジオを作れないかと声を掛けられ、二月に発売した。

 こだわりは使いやすさ。「ボタンを少なくし、点字を付けた。放送局名の読み上げは、高齢の方にも好評です」と営業推進部の田野勉課長。大地震、津波で緊急警報が出ると、自動的にNHKのテレビ音声が入る。

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 一方、大手メーカーでは、ソニーが昨年十月に地デジが聴ける携帯型ラジオ「XDR−63TV」を、今年二月に据え置き型「XDR−55TV」を発売。

 同社シニアエンジニアの山本斉さんは「アナログ時代からテレビを聴けるラジオは作っていたので、ニーズがあることは承知していました」と話す。

 携帯型は一万六千円前後、据え置き型は一万四千円前後。通常のラジオよりも三、四千円高いが予想以上の売れ行きで、購入者の中心は五十〜七十代の男性のようだ。ラジオは震災で見直されたが、「テレビ音声付き」も市場の活性化につながればと期待する。

 Dpaによると、障害者もテレビから情報を得ており、テレビが聴けるラジオの開発をメーカーに呼び掛けてきたという。現在数社が発売、Dpaのホームページで「知らなきゃ損するデジタルテレビ」として紹介している。

◆根強いニーズに応え ワンセグ搭載、音のみ出力

 地デジが聞けるラジオ アナログテレビの1〜12チャンネルに使われていたVHFの周波数帯はFMラジオの延長線にあり、高機能なFMチューナーがあれば音を聴くことができた。一方、UHF帯を使った今のデジタルテレビが聴けるラジオは、AM、FMのチューナーに加え、テレビのワンセグ放送(携帯電話などに向けて放送されており、内容は普通のテレビ放送と同じ)のチューナを搭載。その上で映像を切り捨て、音声だけを出力している。

 

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