| ||
| (12時間35分前に更新) | ||
国防軍設置など憲法改定を目指す安倍晋三政権の危うさや沖縄の基地問題への影響を探るシンポジウム「改憲と国防~憲法を変えなければ、国は守れないのか?~」(主催・連合沖縄)が26日、那覇市内で開かれた。柳沢協二元内閣官房副長官補、半田滋東京新聞編集委員兼論説委員、フリージャーナリストの屋良朝博元沖縄タイムス論説委員が登壇し、尖閣有事の際には輸送機のオスプレイがほとんど役にたたないことなどを指摘、沖縄の基地負担軽減のビジョンを探った。
柳沢氏は米国議会調査局が「米国が尖閣をめぐり、日中の紛争に巻き込まれる恐れがある」との報告書を出したことを踏まえ「尖閣が日中のナショナリズムの象徴になっている」と危惧。オスプレイ配備を尖閣問題と絡めて正当化する風潮があることについては「戦闘機による制空権がなければ上陸できない。(仮に上陸されても)艦砲射撃の方が有効で、(オスプレイなど)海兵隊の兵力で取られたり、取り返したりする戦争は、軍事的合理性がない」と指摘した。
半田氏は米国や韓国のベトナム戦争参戦やソ連によるアフガニスタン侵攻など「第2次世界大戦以降に起きた戦争は、ほとんどが集団的自衛権を理由としてきた」と強調。安倍政権が憲法を改定しなくても、集団的自衛権行使を可能にする国家安全保障基本法案の国会提出を検討していることについて「法の下克上が生じる」と批判。「急患輸送など沖縄で自衛隊の活動が評価されてきたのに、戦争をできるように時計の針を戻すようなものだ」と断じた。
屋良氏は在沖海兵隊の主力部隊であるオスプレイを配備する第31海兵遠征部隊が、長崎県の佐世保基地を母港とする揚陸艦で運ばれ1年間のうち9カ月間を沖縄以外で活動していることを説明。「沖縄に地理的な優位性があるとは考えられず、普天間飛行場や海兵隊が九州にあっても何もおかしくない」と基地負担軽減への政治のリーダーシップを求めた。
主催者を代表して連合沖縄の仲村信正会長は「国家権力の暴走を招く憲法改正に、働く人々もノーの声を上げていこう」と訴えた。