【小野智美】障害者の就労を支援する、女川町唯一の事業所「きらら女川」が、新しい工房で再起した。東日本大震災で流失し、2年4カ月あまり。震災前はサンマを練り込んだかりんとうを作っていたが、これからは「さんまパン」も焼く。事業所で働く1人は、25日に開かれた工房の完成式でこう語った。「絶望は突然、訪れます。しかし、希望があります。希望は魔法ではありません」――。一人ひとりが力を合わせて、希望を紡ぎ出した。
■被災、女川から鳥取へ
きらら女川は、2010年12月、女川港そばでオープンした。
長年、町でパン屋を開いた後、かりんとう工房を営んでいた阿部雄悦さん(72)と、鳥取県伯耆町から来た松原千晶さん(52)が、手弁当で立ち上げた。
阿部さんは、工房で障害者を雇っていたが、雇える人数には限りがある。働く場を増やそうと考え、かりんとうの冷凍生地を女川町から全国の事業所へ送り、地元の野菜や果物を加えたかりんとう作りを指導していた。松原さんは、伯耆町の事業所で梨入りのかりんとう作りなどに携わった縁で、阿部さんの元へやってきた。
当初、施設で働く利用者は4人だったが、震災前には11人に増えた。
11年3月11日。近くの広めの民家へ引っ越す日だった。パンを焼き、喫茶も始めようとしていた。
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