映画監督 宮崎駿氏
――再びファンタジーを作る気持ちはあるか。
「才能がある人間がいれば今はやはりファンタジーを作るべき。しかも、今まで見たこともないファンタジーを作らなければいけない時代が来ていると思う。僕が今の時代に向けて作るのなら『もののけ姫』だが、もうすでに作ってしまった。見たこともないファンタジーを作るためには相当なインスピレーションと力がないとできない。それはハイ・ファンタジー(異世界を舞台にしたもの)ではなく、現実感のあるファンタジーだろう。(ストーリーが)ひっくり返ってひっくり返って何が本当なのか分からなくなりながら、単純化していくようなもの。今の自分が作るのはちょっと無理だと思う」
「以前は午前1、2時まで働いて、午前9時からまた仕事を始めることもした。だが今はできない。朝、2時間は体操など自分の体のために使わないと、とてもじゃないが、仕事に出てくる気力がなくなった。『ポニョ』の時より仕事を切り上げる時間も30分早くなった。限界だなということを今、痛切に感じている」
「僕はアニメーター上がりの画工で、机に向かう作業をしていないと映画を作れない。画工は具体的に絵を描かないと意味がない。この登場人物はこの時、こういう表情をして、こんなセリフをしゃべる、と絵コンテに書いても本当のところは分からない。紙の上であっても実際に絵を(動画のように)動かしてみて初めて人物に血が通う。そうして初めて登場人物のことが分かってくる。絵は他の人にまかせれば、と言われることもあるが、それは僕にとって映画をやめろと言われるのに等しい。(新作の制作を終えた今、必要なのは)まず空っぽになること。最低でも半年はかかる。それから次を考えればいい」
(聞き手は文化部・関原のり子)
宮崎駿、堀辰雄、鈴木敏夫、五所平之助、成瀬巳喜男、小津安二郎、映画、風立ちぬ、崖の上のポニョ、アニメーション、エッセンス
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