――大正から昭和にかけての時代が舞台だが、あからさまな戦争場面は出てこない。戦争表現をどう考えているか。
「堀越二郎の戦闘機が1番活躍したのが中国大陸。本庄の設計した爆撃機を援護するのに使われた。映画にするとなると、中国軍と空中戦をやることになる。中国や朝鮮半島全体(の人たち)がどういう感情を持つのか当然予測はつく。あの時代を描く時には避けて通れない問題だ。やらなければならないのであれば、やるしかないと思ってこの作品の制作に入った。(結果的に描かなかったのは)あえて避けたのではなく、(描くべきことは)その時代に自分の志にまっすぐ生きた人がいたということだった。堀越と堀辰雄の2人はインテリで、とんでもないところに(日本が戦争に)行くということを予感している。分かっていても一切そういうものとかかわらない生き方はできるのだろうか。僕は違うと思う。職業人というのはその職業の中で精いっぱいやるしかないんだ」
「まるで歴史的感覚をなくしたわけではありません、と言い訳するように、軍の行進の場面を入れたりということはやめようと思った。歴史というものはそういうものだからとあいまいにしたり、零戦は強かったという表現をしたり。そういうインチキ映画は作らない。一生懸命やった人たちのことを描く覚悟をした」
――反戦主義でありながら、世界の戦記を読み、武器にも造詣が深い。鈴木プロデューサーは「矛盾の人」と監督を評している。
「武器や鎧(よろい)などそういうものに他人の3倍ぐらい興味がある。ただ飛行機マニアも戦車マニアも好きではない。例えば戦車に弾が当たるとどんな音がするのか、戦車に乗っている人と戦車を外から目の当たりにしている人とどちらが恐怖を感じるのか。僕はそういうことばかり気になっていた。確かに僕は矛盾に満ちているかもしれない。でも仕方がない。矛盾のない人間はたぶんつまらない人だ」
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