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――監督は子どものころから飛行機好きで、堀越が設計した九試単座戦闘機(九試単戦)の写真を小学生の時に見て鮮烈な印象を受けたというが。
「九試単戦を今から数年前、5分の1のサイズでラジコン(の飛行機)を作ってもらい、飛ばしたところ本当にきれいだった。この戦闘機は(主翼が途中から上に曲がる形をした)逆ガル翼。翼が下がっているから脚(着陸脚)が短く、空気抵抗が少なくて済む。一時、世界的に流行したもので、堀越はこれを絶対にやってみたかったと思う。九試単戦ができるちょっと前まで、(日本の飛行機は)イギリスやフランス、ドイツの設計者に設計してもらうというレベルだった。優秀な技術者や努力している会社もあったが、日本型の飛行機というものを決定づけたのが堀越二郎と(映画で堀越の友人として登場する)本庄季郎だと思う。本庄は明朗、明晰(めいせき)で、自分のやってきたことを包み隠さず話す。一方、堀越は英国型の紳士という感じの人。とても頭がよく、分かりきったことを議論しても仕方ないという考えだったのではないか。実際の2人は仲がよくなかったかもしれないが、映画の中では友達にした」
――もう一人のモデル、堀辰雄については。
「若いころに読んだが、実はピンとこなかった。古書店で見つけ、たまたま読み直した。繰り返し読むうちに『美しい村』『晩夏』はすばらしいと気づいた。堀辰雄は戦時中、(長野県軽井沢の)追分で過ごしていた。あの寒い追分の冬を過ごすとは、(病を得た)体のためという以上になんらかの覚悟があったのではないか。しかも戦争のせの字も一切書かず、干上がるのを覚悟して『大和路・信濃路』を書いた。そういうことがだんだん分かってきて、この人は線が細そうに見えて、ものすごく骨太で強い人だなと思った。この時代の人で1番自分に身近に感じられたのが堀越二郎と堀辰雄だった。堀越二郎の内面はおのずと堀辰雄になっていった」
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