「韓国人と朝鮮人は殺せ」「在日韓国・朝鮮人は寄生虫」-在日コリアンが多く住む東京・新大久保や大阪・鶴橋では、日本人集団が口汚くののしりながら行進する「ヘイトスピーチ(憎悪表現)」デモが収まらない。従軍慰安婦や竹島領有をめぐる問題が取り上げられるたびにエスカレートしているそうだ。
大阪市の市民団体「在日コリアン青年連合」の事務所には、「自殺しろ」「出て行け」といった嫌がらせ電話や脅迫文の送り付けが増えているという。
今回の参院選のさなか、同連合が各党にヘイトスピーチへの見解と対策をただすアンケートを実施したところ、回答したのは民主、公明、共産、社民の4党だけだった。
その中で民主党は「強く反対するが、言論の自由との兼ね合いもある」と答え、他の3党は「国が何らかの対応をするべきだ」とした。ただ青年連合は、最も知りたい自民党の回答がなかったことが不満なようだ。
ある韓国メディアの特派員はヘイトスピーチについて、「先進的な民主国家で国民はみな親切という日本のイメージと異なる行為だ」「韓国でも反日デモはあるが、日本の政府や政治家に対する抗議であって、一般の日本人を標的に『殺せ』『帰れ』などの言葉を投げ付けるものではない」と指摘する。傾聴するべき言葉だろう。
世界にはヘイトスピーチを含め差別を法律で規制している国が多い。日本の「人種差別撤廃NGOネットワーク」も差別禁止法の制定を訴えている。
「日本人は優しい」とのイメージを損なわないためにも、国民すべてが排他的考えから遠くありたい。(龍神恵介)
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