雨宮処凛と憲法生活:鶴橋かいわいの巻

毎日新聞 2013年07月26日 大阪朝刊

 話題は最近このかいわいでもある、在日コリアンが標的の「ヘイトスピーチ(憎悪発言)」デモに。趙さんが「あんなんしても、こんだけしっかり在日が根を下ろしている街は、ビクともしまへんわ(笑い)」。雨宮さんは「私は昔、右翼だったからデモの気持ちは少し分かるとこもある。格差社会、自己責任社会で誰にも認められず、お先真っ暗で孤独で、自らを日本人ってことでしか誇れない。弱い自分に日本を重ね、自分たちを脅かすと信じる相手をたたく。彼らの言葉は、誰かにいじめられたせりふをそのまま繰り返したみたいに聞こえる。それだけに、つらい」。

 まだ午後3時だが、日本人経営の立ち飲み屋さん、源氏にはしご。のれんをくぐった途端、同店の吉富七三子(なみこ)さん(72)が「よう来はった! あんた(趙さん)の顔や、取材を断るわけいかん、人間つながりが大事や。うちの串カツはああでな、どて焼きはこうで湯豆腐がそうでカメラマンのお兄ちゃんっ、そこらに虫いても撮らんといてーな」。雨宮さんは、「お茶代わりや」と出された生ビールを飲みつつ、相づちを打つ間もない。

 吉富さんの名前は「陸軍将校やったお父ちゃんが、大陸から『第73部隊の部隊長になったから、娘の名前に』って電報打ってきてな」。雨宮さんは「そんな歴史を背負った方が、この街で周囲と仲良くお店してるのが、とても『深い』ですね」。

 吉富さんが「あんたら、キムチ屋やったらここやで」と太鼓判の金城(きんじょう)おばあさんの店へ。趙さんは、恩師の孫が最近この店に嫁いだ話で同店の川田和代さん(53)と盛り上がる。その関係、近いんだか遠いんだか……。雨宮さんは「けど、無理にでも関係を見つけて仲間だと確認し合う感じは、うらやましいかも」。

 御幸(みゆき)通り商店街まで歩く。「戦前にここを好意的に報じた雑誌が残ってます。なにせ当時の標語は、一視同仁(天皇の下では誰もが平等)です」(趙さん)

 商店街の入り口、御幸森天満宮には、万葉仮名と日本語、ハングルの三つで記した「難波津の歌」の碑が建つ。朝鮮から日本に漢字を伝えた王仁(わに)博士が仁徳天皇の即位を祝った歌とされ、2009年の建立だ。趙さんは「ここは古代から朝鮮人が住んで、彼らの先進技術を仁徳天皇も見に来たんですわ」。細かく説明するが、雨宮さんは、あまりの暑さと行く先々でのアルコール攻めに、無言で体が揺れ始めた……。

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