大津いじめ自殺:市教委と中学、事後対応の不十分さ謝罪
毎日新聞 2013年07月25日 12時37分(最終更新 07月25日 12時44分)
大津市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が2011年10月に自殺した問題で、市教委と生徒が通学していた中学校が25日、市の第三者調査委員会から批判された対応の問題点について検討結果をまとめ、越直美市長に提出した。事後対応の不十分さなどを遺族に謝罪。当時いじめの認識が持てなかったことを問題点とする一方、自殺を家庭要因とし、いじめとの因果関係を組織的に隠蔽(いんぺい)したとの指摘は否定した。遺族は「反省はしているが、内容は言い訳に感じる」として、市教委に質問書を改めて提出した。
今年2月、市教委と学校が回答を提出したが、越市長は、第三者委から批判された家庭要因への誘導や組織的隠蔽についての回答のほか、生徒が亡くなったことに対する謝罪がないなどとして、再回答を求めていた。
再回答は市教委分が42ページ、学校分が32ページ。ともに、自殺を防げなかったことや事後の調査内容と対応が不十分だったことを遺族に謝罪した。
市教委分では、家庭要因への誘導について「いじめが自殺の一因であるとの認識は持ちながら、家庭や個人の要因もあるとの思いから『判断できない』と説明した」などとし、組織的隠蔽の意図は否定した。また、「学校での調査が難しいと判断した時点で第三者による調査に委ねるべきだった」として、第三者委の設置の遅れを反省点に挙げた。
また、学校分では、男子生徒が体育祭の際、鉢巻きで縛られていたことなどについて、「いじめの現場を見たという認識でとらえていなかった」と記述。男子生徒の学年に問題行動が少なく安心感があったことや、教員の情報共有不足も、いじめの認知が遅れた原因とした。
富田真教育長は「(自殺前に)いじめの認識がなかったこと自体が大問題で、再発防止に全力を挙げている。ご遺族の質問にはできる限り答えたい」と話した。越市長は「市教委は遺族の意見をしっかり聞いて、今後の対策についてしっかりと話し合ってほしい」と述べた。【石川勝義】