【青田貴光】兵庫県警が窃盗事件の捜査対象者=起訴=や知人の車に全地球測位システム(GPS)の携帯端末を取り付け、行動確認をしていた。公判資料などでわかった。県警・検察は、容疑が濃厚で必要性があったとしているが、弁護側は「24時間の監視が可能で、行きすぎた捜査手法だ」と疑問視する。
GPS端末は、大手警備会社が一般に貸し出しているもので、事前に車に設置し、盗まれてから捜索しやすくする、子どもに持たせて防犯対策に役立てる――などを想定している。警察の捜査での取り付けが明らかになるのは異例だが、法規定はないという。
兵庫県加古川市の駐車場で2011年5月20日未明にカーナビ1台を盗んだとして、住所不定の解体業の男(35)が窃盗容疑で逮捕、起訴された。取り付けは、この被告の公判審理で検察が認めた。
検察側が神戸地裁に提出した書面などによると、取り付けたのは、カーナビの広域窃盗事件を内偵していた県警の捜査員。11年3月に被告の知人女性の乗用車に、翌月には被告の使っていた盗難車に装着した。2台とも民間の駐車場に立ち入って取り付けたという。
それまでの張り込みや尾行結果から、被告がカーナビの窃盗犯の疑いが濃厚になり、広域を車で高速に移動し、警戒心も強いことなどから装着の必要性があると判断したとしている。