物語

 遥かな太古から偉大な五神獣によって、繁栄の時代を謳歌していたパラストラ島。 しかし、世界は数百年前より緩やかに荒廃する黄昏の時代を迎えていた。 大地は渇き、海は干上がり、出生率は激減し、原因不明の病が発症し、さらには、異獣と呼ばれる異形の魔物が各地に蔓延りはじめている……。 魔導都市エネルゲイアの大公テオフラッドは、新エネルギー『エーテル』による世界の救済を提唱するが、それを邪法とし、滅ぼそうとする聖竜帝国グランレイドと激しく敵対するのだった―。

魔導都市エネルゲイア

聖竜帝国グランレイド

森林国家ディアヘルム

仙境タカマガハラ

群島国家フォートラフス

魔導公国アルハザード

魔導都市エネルゲイア

 神獣の加護なき枯れた大地、ロストバレーに住む者たちが身を寄せ合う都市国家。テオフラッドが提唱するエーテルエネルギーによる生活水準の向上と、世界の黄昏への対抗という目的を信じて集う民たちによって構成されている。
 古代の技術設計思想を流用して空中浮遊都市となり、やがて帝国と戦うための力を得るため、各地の霊脈を巡る旅路につく。 有事には、都市外面部を迷宮化して白兵防御戦を行う、ラビリンスモードへと可変する。

聖竜帝国グランレイド

 『五ヵ国協定』の五大国の中で、最も巨大であり、実質的な決定権を握っている大帝国。『剛(つよ)きは脆(よわ)きを守り、富める者は貧しき者に慈しみを』という教義の通り、この国では平等を推し進める為の法律が定められている。




森林国家ディアヘルム

 誰にも全容が掴めないほど広大な森で、幻想種が生存する数少ない聖域でもある。 近年は世界の黄昏の影響か、元々それほど出生率の高くないエルフ族の子供たちが めっきり減ってきてしまい、さらにはバグスと呼ばれる蟲の異獣が多数現れ、 森を穢すようになったという。

仙境タカマガハラ

 ディアヘルムの森を抜けた先、霊峰の霧のなかに浮かぶ、浮遊島にある異郷。 一説によると異次元空間に漂っているのでは、とも。 遠い昔、倭国という文化圏から渡ってきた者たちの住む国。 元来、倭国の人々は閉じたコミュニティを好むためか、 魔道公国アルハザードと並んで、外部に対しては閉鎖的な国では有る。

群島国家フォートラフス連合

 大小、様々な国が入り乱れた海洋国家の総称。 国を治めているのは各島国の長で構成される連邦評議会で、国の軍隊もいるにはいるが、 百戦錬磨の荒くれ者揃いの海賊勢力の足元にも及ばないくらい脆弱。 むしろフォートラフスの国の最大の軍事力は、武装商船として公的に私掠免許を与えられている 南の『ゴールデンハインド』と北の『ノーザ・バイキング』、2つの海賊団である。

魔道公国アルハザード

 魔術と芸術の研究がとてもさかんな死者の国。
 賭博、娼館、闘技場。様々なアンダーグラウンドを一カ所に詰め込んだような場所で、死者にはなかなかクリエイティブな方面での活躍は 期待できないということで、人間の芸術家・音楽家・料理人・彫刻家・研究者・哲学者・詩人などの 才能有る者は、貴族たちに高給で雇われている。 芸術を謳歌し、研究を惜しまず、快楽を追及するその姿勢が、国の経済力を高めている。

魔導力(エーテル)

 錬金術の研究の果てに発見された新世代の触媒。星から吸い上げた人工加工可能なエネルギーであり、別名"魔導力"などと呼ばれているが、主人公テオフラッドは"エーテル"で統一している。
 魔導科学者に言わせると、星が美しい本来の星であろうとする防衛本能を特殊な方法で抽出している……らしい。どちらかと言えばスートラに近い性質を持っているとされ、これを利用した術式は"魔導術"と呼ばれる。


魔力(スートラ)

 古より伝わる、島に住む人間の欲望をエネルギーに変換した不可視のエネルギー。 基本的に魔族と混血の人間はこの力を利用する。 殺意、食欲、嫉妬、憎悪、快楽など生活上誰でも心に秘めている感情を利用している為、娼館、闘技場、闇市場などに溜まりやすいく、威力を問わないのであれば多くの者が利用できる。 これを"魔術" と呼ぶ。 本来、魔族ならば簡単に人間から魔力を吸い上げられるが、現在では純粋な人類が減少しており、それに比例するように吸い上げられる魔力の量も減っている。

神力(エスピリト)

 古くから伝わる、神や偉大な存在への信仰心をエネルギーに変換したもの。そもそも他者を信仰する、敬うという行為は欲望に比べて集めにくく、この力を扱える種族は圧倒的に少ない。神が実際に存在していた頃は充実していたエスピリトだが、現在では神獣も一般の者にはそうそう目に見えぬ存在。なので、精製できるエスピリトは明らかに減衰していっている。
 神殿や教会などの神聖な建物に充実しており、これを利用した術式は"神術"と呼ばれる。

霊脈(れいみゃく)

 高濃度のエスピリトやスートラが循環する地脈のようなもので、ここにセレスタイトが眠っている。大地が荒廃し、衰亡の時を迎えたパラストラでも、ここだけは潤沢なエネルギーに満ちている。





星霊石(セレスタイト)

 その土地のエスピリト及びスートラを凝縮した宝石。基本的に各国の大地の奥深くに眠っているとされ、最も力が充実している物質。霊脈の中枢部に存在しており、これを手に入れる事が本作の目的となる。
 その土地の力を凝縮した結晶体で、守護神獣のいる場所に眠っているとされるが、その存在を知っている者はごく僅かである。

魔導石(アルカナストーン)

 古代技術を再現して作られた、魔導科学の産物。タロットカードをイメージした特定の力の方向性を結びつけ、引き出しやすくした技術。

魔導兵器(アルカナウェポン)

 魔導石(アルカナストーン)を武器にセットしたもの。 魔導石の特性を保有する。

神獣の巫女

 遥かな昔に、神獣の加護を直接その身に受けた者の子孫であり、現時点でその加護が最も色濃く現れている者、あるいは巫女としての地位を公的に認められている者を、神獣の巫女という。
 五ヶ国それぞれに存在しているが、その選出方法や継承方法は各国によって異なる。




守護神獣

 島のそれぞれの土地を守護している五体の神なる獣。土地によって姿、能力、性質は様々だが、その土地を守るという事だけは共通している。

最北部、グランレイド帝国に天轟聖竜バハムート。
北西部、仙境タカマガハラに傾界九尾タマモ。
北東部、魔道公国アルハザードに暗黒不死王ベルゼビュート。
南西部、森林王国ディアヘルムに明星翼蛇ケツアルカトル。
南東部、フォートラフス連合に金色巨鯨ケートス。

天轟聖竜バハムート

 破壊と創造を司る竜。世界を創造した第一の獣とされる。雷と光の化身であり、放つ神雷によって生命を浄化し、光によって新たな生命を生み出したとされる。他の国と違い、獣ではなく人間の姿をした女帝として顕現している。神雷を司る、間違いなく全ての神獣の中でも最強の存在。

明星翼蛇ケツアルカトル

 豊穣と生命を司る白蛇。島を緑豊かな大地へと変えた第二の獣。ディアヘルムを守護する大いなる1柱。翼を持った蛇の姿で描かれ る古き神。パラストラに生きる人々に、大いなる大地と森の恵みを与えたとさ れる。

傾界九尾タマモ

 知恵と調和を司る第三の獣。高天原を守護する大いなる1柱。あらゆる知識を包括する金色の狐。人々に生活の知恵を授け、自然とともに生きることの厳しさと暖かさを伝えたとされる。

金色巨鯨ケートス

 欲望と海運を司る第四の獣。あらゆる財宝とあらゆる女を飲み込んだとされる巨大な鯨。人々に商業の概念と飽くなき探究心を与えたとされ、海の恵みも もたらしたとされる。強欲な神獣とされており、嵐などで沈没した船に積まれていた積 荷や黄金は、そのまま神への供物となっているという説もある。

暗黒不死王ベルゼビュート

 死と滅びを司る第五の獣。古文書などでは、蝿の姿で描かれる事が多い。闇の化身であり、世界に生まれいづる物に終わりを定めたことで、地上に静寂と安寧をもたらしたとされる。副次的に、老いと時間を司っているという説もある。他の守護神獣に比べて、極めて退廃的。普通の生き物とは価値観が違いすぎて、彼女という存在を真に理解し得る事は不可能に近い。