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防衛大綱―「専守」の原則忘れるな

政府が年末に打ち出す新たな「防衛大綱」づくりの中間報告を、防衛省が発表した。焦点のひとつである離島の守りについて、水陸両用の「海兵隊的機能」を確保することが重要と明示し[記事全文]

元警官不起訴―ずさん捜査なぜ断てぬ

富山市で10年4月に会社役員夫妻が殺害された事件で、容疑者とされた富山県警の元警部補が不起訴処分になった。元警部補は昨年12月の逮捕時点では容疑を認める供述をしていたと[記事全文]

防衛大綱―「専守」の原則忘れるな

 政府が年末に打ち出す新たな「防衛大綱」づくりの中間報告を、防衛省が発表した。

 焦点のひとつである離島の守りについて、水陸両用の「海兵隊的機能」を確保することが重要と明示した。

 海兵隊と言えば、世界を飛び回り、上陸作戦にあたる米軍を思い起こさせる。

 その表現ぶりには懸念がぬぐえない。高い攻撃力をもつ海兵隊と自衛隊は根本的に違う。日本には、戦後一貫して維持してきた専守防衛という原則があるからだ。

 中国は尖閣諸島周辺の領海への侵入を繰り返している。不測の事態に対応するため、防衛力の足りない部分を補う努力は、確かに必要だろう。

 だとしても、あたかも日本が戦後の原則からはずれ、米軍に類した活動に踏み出すかのような誤った対外メッセージを発してはならない。

 離島の守りは陸上自衛隊の西部方面普通科連隊が担ってきた。その機能の向上が主眼ではあろうが、誤解を避けながら進めるのが前提となる。むしろ、海兵隊とは違うことを再確認すべきではないか。

 中間報告に明記はされなかったが、政府内では、敵のミサイル基地などを攻撃する「敵基地攻撃能力」を備えることも検討されている。

 政府見解では、「相手がミサイル発射に着手した後」の攻撃は「先制攻撃」とは区別され、憲法上許されるとしている。だが、そんな能力の保持に周辺国が疑念の目を向けることは避けられない。

 軍備増強が他国の警戒と軍拡競争を招けば、結果的に増強の意味がなくなる。それが「安全保障のジレンマ」と呼ばれる現象だ。配慮を欠けば、逆に安保環境を悪くしかねない。

 また、日本が安保問題を考える際には、軍事や外交にとどまらず、財政の深刻な窮迫もきわめて重い要素になる。

 4機で数百億円ともいわれる高額な無人偵察機の導入を検討する必然性は何か。説得力のある説明はない。

 その一方で、各国が共通して頭を悩ませ、力を入れるサイバー攻撃への対策の力点があまり見えないのはなぜか。旧来型の上陸作戦や攻撃能力などに前のめりになっているのとは対照的で、時代遅れといえないか。

 財政再建や近隣関係に目配りしながら、視野の広い日本の安保政策を考えねばならない。変わる国際環境に、外交との両輪で効率よく対応する国家戦略が求められている。

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元警官不起訴―ずさん捜査なぜ断てぬ

 富山市で10年4月に会社役員夫妻が殺害された事件で、容疑者とされた富山県警の元警部補が不起訴処分になった。

 元警部補は昨年12月の逮捕時点では容疑を認める供述をしていたというが、証拠や犯行現場の状況と合わない点が多く見つかった。検察は起訴しても裁判員裁判で有罪判決を得るのは難しいと判断した。

 日本の刑事司法では自白偏重の傾向が長く続いてきたが、裁判員裁判の導入後、客観的な証拠をより重視する流れが強まっている。証拠での裏付けが不十分なまま起訴に踏み切らなかった検察の判断は妥当といえる。

 問題は、富山県警のずさんな捜査である。

 逮捕の決め手としたのは、事件2カ月後の10年6月に出版社に届き、県警が昨年8月になって押収した「犯行声明文」入りのCD―Rだった。県警はデータに元警部補に結びつく情報があったとして、本人が送ったと判断した。

 しかしその後の捜査で、文書作成ソフトのバージョンが元警部補のパソコンのものと異なるなどの疑問点が浮かんだ。県警幹部は「捜査は適正だった」と言うが、逮捕前の証拠固めが不十分だったことは明らかだ。

 富山県警は02年にも強姦(ごうかん)事件で無実の男性を逮捕し、服役させるという深刻な冤罪(えんざい)事件を起こした。警察庁は、その検証報告書で「証拠の検討や供述の裏付け捜査が不十分だった」と指摘している。

 今回、その反省はまったく生かされなかった。

 殺害された夫妻の遺族は「なぜ自供しているのに不起訴なのか」「捜査に時間がかかりすぎている」と憤る。遺族側は近く、検察審査会に不服を申し立てるという。その心情は察するにあまりある。

 一連の捜査の検証はもちろん必要だ。ただ、警察が信頼を取り戻すには真相を解明する以外にない。県警と検察は態勢を一から立て直して再捜査に臨むべきだ。捜査状況について、遺族側に適切な説明をしていくことも求めたい。

 元警部補は別件の情報漏洩(ろうえい)事件で執行猶予付きの有罪判決を受け、釈放された。夫妻殺害事件について「疑いをもたれたことは反省しないといけない」と報道陣に述べている。

 懲戒免職されたとはいえ、かつては警察官だった。容疑を一時認めたことや、被害者夫妻とのかかわりについては不明な点が残る。真相解明に向け、知っていることはできる限り語ってもらいたい。

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