7月26日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:円が主要通貨に対し上昇-株価下落で逃避需要
外国為替市場では円が主要16通貨全てに対して上昇。日本企業の決算が期待外れとなったことでアジア株が下げ、円の逃避需要が強まった。
ブルームバーグ・ドル指数 は5日連続低下。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合では緩和策の変更を示唆しないとの見方が広がっている。日本の債券市場では、インフレに敏感な10年債相場が上昇。消費者物価指数(CPI)の伸びが2008年以降で最大となったものの、10年債は買われた。日米金利差はほぼ変わらず。南アフリカ・ランドは下落。中国が国内企業に対し過剰生産能力の削減を命じたことで、貿易の先行きが懸念された。
BNPパリバの通貨ストラテジスト、バシーリ・セレブリアコフ氏(ニューヨーク在勤)は電話取材で「円の全般的な上昇は、日本株の下落を反映している」と分析。「株価下落という点で、リスクオフの要素がある」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、円はドルに対し前日比1.1%高の1ドル=98円21銭。一時97円96銭と、6月27日以来の高値を付けた。週間では2.5%上昇。対ユーロではこの日1.1%上げて1ユーロ=130円42銭。週間では1.4%高。ドルは対ユーロでこの日ほぼ変わらずの1ユーロ=1.3279ドル。週間では1%安。
ネットショート米商品先物取引委員会(CFTC)が示したデータによると、先物トレーダーは4週連続で円が対ドルで下落するとの見方を強めた。ヘッジファンドや大口投機家による円のネットショート(売り越し)は23日時点で8万7496枚と、5月31日以来で最多となった。前週は8万5762枚だった。
主要7カ国(G7)通貨の間のボラティリティを示すJPモルガン・チェースのG7ボラティリティ指数 は9.45に低下。週間ベースでは5週連続で下げ、ここ1年で最長の連続低下となった。
南アフリカ・ランドは主要通貨の大半に対して値下がり。中国は19業種1400社余りに対し、年内に過剰生産能力を削減するよう命じた。ランドは0.5%安の1ドル=9.7704ランド。
米銀が決済機関デポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング(DTCC)へ提出したデータをブルームバーグがまとめたところによると、外為オプションの店頭取引は合計230億ドル。前日は290億ドルだった。対円でのドルのオプション出来高は75億ドルで、シェアは33%と最大だった。
FOMC、円主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル指数 は1022.85。週間ベースでは1%下げ、3週連続での低下となった。FOMCは来週30-31日に政策決定会合を開く。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は25日、FOMCではフォワードガイダンスについて議論する可能性があると報じた。
BNPのセレブリアコフ氏は「WSJの記事を見ると、明らかに材料視される内容だ」と指摘。「金利差によるドル下支え効果の弱まりが続いている」と続けた。
日本の総務省がこの日発表した6月の全国消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除くコアベースで前年比0.4%上昇した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.3%上昇だった。
ノルデア銀行のチーフ為替ストラテジスト、ニールス・クリステンセン氏は「日本のインフレ指標は予想を若干上回った。これにより追加緩和期待が後退し、円が押し上げられた」と分析した。
原題:Yen Strengthens Amid Increase in Demand for Refuge; RandSlides(抜粋)
◎米国株:下げ埋める、金融政策会合前に決算や統計を注視
26日の米国株 は小幅高。S&P500種株価指数は取引終盤に下げを埋めた。来週開かれる金融政策会合を前に、投資家は企業決算や消費者マインド指数を材料視した。
世界最大のコーヒー店チェーン、スターバックスは上昇。利益が予想を上回った。オンライン販売のアマゾン・ドット・コムも上昇。オッペンハイマーが株価予想を引き上げたことが好感された。一方、オンライン旅行サービスのエクスペディアは急落。売上高と利益が投資家の失望を誘った。
S&P500種 株価指数は前日比0.1%未満高い1691.65。ダウ工業株30種平均は3.22ドル(0.1%未満)高の15558.83ドル。
JPモルガン・ファンズのグローバル・マーケット・ストラテジストのアナスタシア・アモローゾ氏は電話取材に対し、「市場は緩和ペースに慣れてしまい、少しでもそれが縮小されれば短期的には若干の下げ材料になる可能性がある」と述べ、「市場は金利の上昇に合わせようと調整している過程にあり、金利が上昇しても株式が終わるわけではないということに気づきつつある」と続けた。
米消費者マインド指数米トムソン・ロイター/ミシガン大学消費者マインド指数 (確定値)は7月に85.1と、前月の84.1から上昇した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は84だった。速報値は83.9だった。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、米金融当局は9月に資産購入の縮小を開始すると予想されている。バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、9月に緩和縮小が開始されるのかどうか「判断するのは時期尚早だ」と述べた。次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)は7月30-31日に開催される。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想によれば、4-6月(第2四半期)の実質GDPは1%増と、前四半期の1.8%増から減速が予想されている。また7月の雇用統計では18万5000人の雇用増と、前月の19万5000人増から伸びが縮小するとみられている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、これまでに第2四半期決算を発表したS&P500種構成企業260社のうち、利益が予想を上回ったのは73%となっている。売上高が予想を上回ったのは57%。
今後のファンダメンタルズヘイバーフォード・インベストメンツの調査ディレクター兼ファンドマネジャー、ティモシー・ホイル氏は、「ファンダメンタルズはこれまでは良好だった。しかしここからのファンダメンタルズは一段高を支援しないだろう」と述べ、「企業が得ている利益は効率化や低コスト、低金利によるものだ。景気からは末端市場の需要はまだ見えない。これこそ株価の上昇に必要なものだ」と続けた。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は1.9%低下の12.72。VIXは約80%の確率でS&P500種と反対方向に動く。VIXは年初からは29%低下している。
スターバックス は7.6%高。ハワード・シュルツ最高経営責任者(CEO)は売り上げ増を図るため、店舗内でのフード販売やコーヒー以外の飲料に力を入れてきた。4-6月(第3四半期)決算は純利益が1株当たり55セントと、アナリストの予想平均(53セント)を上回った。同社は今年度通期の利益見通しを上方修正した。
アマゾンは2.8%高。オッペンハイマーのアナリスト、ジェーソン・ヘルフスタイン氏は株価予想を367ドルと、従来の325ドルから上方修正した。4-6月期の粗利益の伸びが予想を上回ったほか、安定した売上高を上方修正の理由に挙げた。
エクスペディア は27%急落。4-6月期決算では一部項目を除くベースでの利益が1株当たり64セントと、アナリスト予想平均値の同81セントを下回った。
原題:U.S. Stocks Erase Losses as Investors Weigh Earnings,Economy(抜粋)
◎米国債:続伸、FOMCが債券購入を継続するとの観測 (1)
米国債相場は続伸。米連邦公開市場委員会(FOMC)が月額850億ドルの債券購入プログラムの変更を来週の会合で示唆することはないとの観測が背景。
米消費者マインド指数が市場予想を上回ったことを手掛かりに10年債はもみ合う場面もあった。米国債は週間ベースでは3週ぶりに下落。今週は総額990億ドル相当の入札が実施され、このうち7年債入札の最高落札利回りは2011年7月以来の高水準となった。来週発表の住宅価格指数は7年ぶりの高い伸びが予想されているほか、失業率は低下が見込まれている。
ドイツ銀行プライベート・ウェルス・マネジメントの債券トレーディング責任者、ゲーリー・ポラック氏(ニューヨーク在勤)は「過去6週間にバーナンキ議長が何度発言したかを考えると、来週のFOMCではサプライズは何もないと思う」と指摘。「これまでの論点を繰り返すことになるだろう」と述べた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、指標となる10年債利回り は1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.56%。同年債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格は2/32上げて93。同利回りは週間では8bp上昇した。
ブルームバーグ米国債指数 によると、米国債のリターンは今月に入ってマイナス0.3%と、3カ月連続のマイナスとなる見通し。年初からはマイナス2.6%となっている。株式指標のMSCI世界指数 のリターンは月初からプラス5.9%、今年に入ってからは配当の再投資分を含めてプラス13%。
経済指標米トムソン・ロイター/ミシガン大学消費者マインド指数(確定値)は7月に85.1と、前月の84.1から上昇した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は84だった。速報値は83.9。
30日に発表される全米20都市を対象にした5月のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー住宅価格指数 は前年同月比で12.4%上昇が予想されている。8月2日発表の7月の米失業率 は7.5%と前月の7.6%からの低下、非農業部門雇用者は18万5000人の増加がそれぞれ見込まれている。
バークレイズの米金利調査責任者、ラジブ・セティア氏は調査リポートで、「たとえ非農業部門雇用者数がコンセンサスに近い数字になったとしても、突然の失業率低下のリスクは織り込んでいない」と指摘。「一段の売りが進むことに備えておくべきだろう」と述べた。
出来高米政府債のディーラー間ブローカーで最大のICAPによると、米国債の出来高 は1950億ドル。前日は3520億ドルと、17日以来の活況だった。年初からの平均は3200億ドルとなっている。
メリルリンチ・オプション・ボラティリティ・エスティメート(MOVE )指数は前日に82.6と、24日の80.2から上昇。5日には2010年12月以来での最高となる117.89となっていた。
ブルームバーグがまとめた調査によれば、FOMCは9月に債券購入の縮小を開始すると予想されている。
原題:Treasuries Advance on Speculation Fed Will Maintain Bond-Buying(抜粋)
◎NY金:反落、米消費者マインド改善で緩和策縮小の観測
ニューヨーク金先物相場は反落。米消費者マインド指数が上昇し6年ぶり高水準となったことを背景に、米金融当局が緩和策を縮小するとの観測が強まった。過去4日間では3日目の下落。
トムソン・ロイター/ミシガン大学消費者マインド指数(確定値)は7月に85.1と、前月の84.1から上昇した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は84だった。速報値は83.9だった。ブルームバーグがまとめた別のアナリスト調査によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月に債券購入の縮小を開始すると予想されている。FOMCは30、31両日に次回会合を開く。
フューチャーパス・トレーディングのトレーダー、フランク・レシュ氏(シカゴ在勤)は電話インタビューで、「市場は経済指標に非常に敏感になっている」と指摘。「来週の会合が極めて重要だ」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比0.6%安の1オンス=1321.90ドルで終了。一時は0.9%上昇する場面もあった。
原題:Gold Declines as Improving U.S. Sentiment Spurs StimulusBets(抜粋)
◎NY原油:週間でマイナス、中国の生産能力削減計画を嫌気
ニューヨーク原油相場は反落。週間では約1カ月ぶりの下落。製造業の余剰生産能力削減へ向けた中国の取り組みが燃料消費の減少につながるとの見方が広がった。
中国は19業種1400社余りに対し、年内に余剰生産能力を削減するよう命じた。より緩やかで持続可能な経済成長にシフトするための取り組みの一環。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は19日に109.32ドルまで上昇し、2012年3月以来の高値を付けた。米経済回復の兆しと原油供給の減少が背景にあった。
トラディション・エナジー(コネティカット州スタンフォード)のアナリスト兼ブローカー、ジーン・マクギリアン氏は「中国が余剰生産能力の削減を企業に命じたとのニュースで、同国の景気減速とエネルギー需要への影響が再び懸念されるようになった」と述べた。「先週付けた1年4カ月ぶりの高値からの調整はまだ終わっていない」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は前日比79セント(0.75%)安の1バレル=104.70ドルで終了した。終値ベースでは9日以来の安値。週間では3.1%の値下がり。年初からは14%上げている。
原題:WTI Caps Weekly Drop as Chinese Reduces ManufacturingCapacity(抜粋)
◎欧州株:続落、自動車に売り-高級品LVMH、ケリングは高い
26日の欧州株式 相場は続落。高級ブランド品を手掛けるフランスのLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンやケリングが売上高の伸び加速を材料に買い進まれたものの、自動車銘柄の下げによる影響が大きかった。
ドイツの高級車メーカー、ダイムラーは2.3%値下がり。同銘柄を中心に自動車株が下げた。独鉄鋼メーカー、ティッセンクルップは2.9%安。米州工場の売却交渉が難航しているとの見方が影響した。「ルイ・ヴィトン」や「クリスチャン・ディオール」などのブランドを展開するLVMHは3.6%、「グッチ」を傘下に置くケリングは3.9%それぞれ上げた。
ストックス欧州600指数 は前日比0.2%下げて298.91。この日は0.7%上げる場面もあった。前週末比では0.3%下落。米金融当局が資産購入ペースについて米景気次第との柔軟な姿勢を示したことを反映し、今月に入ってからは4.9%値上がりしている。
ノッツ・ストゥッキ(ジュネーブ)のポートフォリオマネジャー、ピエール・ムートン氏は「非常に短期でみた場合、相場がさらに上昇する余地があるのか分からない」とし、「決算に関して言えば、これまでの発表を市場は平均すればまずまず評価しているようだ。全てがばら色ではないが、欧州に楽観は幾分ある」と付け加えた。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁がユーロを守ると約束したのは1年前のこの日。以来、ストックス欧州600指数は19%回復。スペインやイタリアの10年債利回りは当時の水準と比べ低下している。
この日の西欧市場では18カ国中11カ国で主要株価指数が下落した。
原題:European Stocks Decline for a Second Day asAutomakers Retreat(抜粋)
◎欧州債:ドイツ債が週ベースで下落、経済指標で-英国債続伸
ドイツ国債相場は週間ベース で今月に入って初めて下落した。最近発表されたユーロ圏の経済データが予想を上回る内容で、域内で最も安全とされる同国債の需要が後退した。
ドイツ10年債利回りは26日、2週間ぶり高水準まで2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となった。欧州中央銀行(ECB)は定例政策委員会を来週開く。イタリア10年債相場は4日続落。同国は計67億5000万ユーロ相当の国債発行の準備を進めている。
バイエルン州立銀行のシニア債券ストラテジスト、マリウス・ダハイム氏(ミュンヘン在勤)は「ユーロ圏の好調な経済データが利回り上昇につながった」とし、ドイツ債利回りは「おおよそ1.50-1.70%の間で取引されるべきだ。来週の展開を見極めるため、この日の取引は手控えられている」と語った。
ロンドン時間午後5時現在、ドイツ10年債利回り は1.67%で、前日からほぼ変わらず。前週末比では15bp上昇。前日には9日以来の高水準となる1.69%に達した。同国債(表面利率1.5%、2023年5月償還)価格は98.51。
イタリア10年債利回り は4.40%と、1bp未満の上げ。18日以来の高水準となる4.44%まで上昇する場面もあった。
一方、ギリシャ国債は上昇。欧州委員会のオコナー報道官は記者団に対し、同国が欧州金融安定ファシリティー(EFSF)から融資25億ユーロを確保したほか、域内の中央銀行が保有するギリシャ債から得る利益15億ユーロ相当を受け取ることを明らかにした。
英国債相場は続伸。2年債利回りは約2カ月ぶり低水準に接近した。イングランド銀行(英中央銀行)は金融政策委員会(MPC)を来週開催する。
ロンドン時間午後5時現在、英10年債利回りは4bp低下の2.33%。前日は2bp下げた。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格はこの日、0.355上げ95.24。2年債利回りは3bp下げ0.30%。19日には0.27%まで低下し、5月9日以来の最低となった。
原題:Bunds Post Weekly Drop Amid Euro-Area Optimism; GreekBonds Rise (抜粋)Gilts Advance as U.K. Says Cunliffe Will Join Bank of England(抜粋)
記事についての記者への問い合わせ先:ニューヨーク 西前 明子 +1-212-617-2601 anishimae3@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/07/27 06:50 JST