【見市紀世子】全国の児童相談所(児相)が2012年度に対応した児童虐待の件数(速報値)は6万6807件で、前年度より6888件増えた。統計を取り始めてから22年連続で過去最多を更新、10年前の02年度と比べて2・8倍となった。また、11年度に虐待で亡くなった子どもは99人(うち無理心中は41人)にのぼった。厚生労働省が25日に集計結果を公表した。
児相は即応体制強化虐待件数は、児相が18歳未満の子どもについての被害通報を受け、対応したケースを集計したもの。厚労省は、児童虐待に対する意識の高まりや児相と警察などの連携が進んだことなどで相談・通報が増えたほか、虐待そのものも増えているとみている。
虐待防止のために昨年4月に始まった新制度に基づき、児相が親権停止を家庭裁判所に申し立てた件数は、1年間で27件あった。
一方、11年度に虐待で亡くなった99人のうち、無理心中以外は58人。0歳児が25人と最も多く、2歳児以下で全体の3分の2(39人)を占めた。主な加害者は「実母」が57%で最も多く、「実父」は19%、「実母と実父の両方」が9%だった。虐待の種類では、殴るなどの「身体的虐待」が66%、食事を与えないなどの「ネグレクト」(育児放棄)が28%だった。
これらの結果を分析した厚労省の専門委員会は、行政側の対策として、望まない妊娠の相談を受ける窓口の充実や、児相職員の専門性確保などの体制強化を提言した。