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住宅ローン(その2)〜返済が遅れるとどうなるか?HEADLINE


 前号では、「住宅ローンの返済が多少遅れても、すぐに競売になることはほとんどない。
なぜなら、たとえ契約書に厳しいことが書いてあっても、文面通りに即競売を申し立て ても、それが必ずしも銀行にとって得策になるとは限らないからだ。銀行は損得勘定で 判断している。多少(数ヶ月以上)の延滞があっても、競売にかけずに様子を見た方が 銀行にとって得策と判断されることも多々ある」といったことを書きました。

 しかし、返済が遅れている間、銀行は何もせずに指をくわえて見ているわけでは ありません。債務者がキチンと返済するように仕向けるため、様々な形でプレッシャー をかけてきます。たとえばこんな方法で・・・

 (1)電話による催促。最もよくある手段です。言葉はとても丁寧ですが、
   「このままでは大変なことになりますよ」
   「あと○ヶ月以内に全額入金がないと保証会社へ代位弁済されてしまいます」
   「保証会社に行ってしまうと、もう競売を止めることはできません」などと、
   債務者の恐怖心を煽る言葉をグサグサ言われますので、 無知なままでは精神的に参ってしまいます。

   「数ヶ月遅れても競売になりませんよ」とか、「競売になっても別にヘーキですよ」
    とは絶対に教えてくれません。

 (2)督促状。これも定期的に来ます。電話で言ってくることとほぼ同じ内容です。

 (3)訪問。大手銀行ではあまりありませんが、信金クラスだと結構マメに訪問してくる ことがあります。言ってくることは(1)と同じです。

 (4)内容証明。だいたい3ヶ月以上遅れて保証会社へ代位弁済される直前のような段階 に来ます。無知な方は内容証明と聞いただけでビックリしますが、法的拘束力は 何もありません。郵便局が内容を証明しているだけだと思って差し支えありません。
 
  が、内容証明が来る頃になったら、そろそろ競売が近づいてきていることは間違いないので、もう従来のやり方でズルズルいくのはやめましょう。
  他の借金も含めて、大掛かりな債務整理が必要です。 場合によっては、積極的に「競売」や「任意売却」で身軽になるべきかも。

 このような担当支店レベルでの任意の取り立てを経て、次は「一括請求」の段階となります。
 一括請求通知はその銀行から直接来ることもありますが、子会社の保証会社から
 「代位弁済をしましたので残債務を一括でお支払いください。さもなくば法的手続き (競売)になります」といった丁寧な書面が来ることも多々あります。

 一括請求もまた、慣れない人には大変ショックの強いものですね。
 しかし、これも例外がいくらでもあります。
 そもそも、分割でもマトモに払えないから一括請求の憂き目にあったわけで、そんなこと 銀行側もよく知った上で一括請求通知を出してきています。
 話し合いの余地は十分にあります。
 この段階から、もとどおりの分割払いに戻した人も大勢いますし、また、個人再生手続き などの法的手続きを申し立てて半強制的に元通りの条件に戻した人もいます。

 一括請求と前後して、銀行側は、しだいに「任意売却」を客に勧めるようになってきます。
 「競売では安く売られてしまいますから、残債が多く残ってしまい、後で返済が大変 ですよ。どうですか?ご自分で任意売却しませんか?」と。

 任意売却は読んで字のごとく、任意の売却です。
 競売のように抵当権を持っている銀行が法的に強制的に(手間と費用をかけて) するものではなく、借り手側に自分の手で売らせようとするものです。

 任意売却は、競売よりも高く売れるのが普通で、しかも銀行が裁判所へ行って高い予納金を払って競売申し立てする必要もないので、銀行にとっては手間も費用も かからず、競売よりもずっと喜ばれます。このため、借り手が任意売却の ために不動産屋を歩き回って売却先を探しているうちは、あまり強引に競売してこない傾向があります。
 (このことを憶えておくと、いろいろな場面で役立ちます)

 このように、競売に至るまでには時間がかかります。
 延ばそうと思えば、かなり時間を延ばすことができます。

 しかし、そこまでして競売を避けるべきなのでしょうか?
 競売ってそんなに悲惨なものなのでしょうか?

 いえ、競売は決して悲惨なものではありません。
 むしろ、「競売されてもいいや」と思えるようになった時から、いろいろな活路が 見出せるようになります。

 競売は赤紙をペタペタ貼られることもなければ、すぐに住めなくなるようなものでもありません。競売を申し立てられても、買い手が決まって明け渡すまでは家は アナタのものであり、普通に堂々と住み続けることができます。
 (競売申し立てから明け渡しまでの時間がこれまた長いのです・・・)

 住宅ローンを払えなくなった場合、最悪の最悪は「競売」になるわけですが、 そうかといって、競売は決して「人生最悪の事態」ではないのです。
  競売=悲惨と結びつけないでください。
 心配な方は、裁判所の競売関連の部署を覗きに行くとか、競売関連の書籍やホームページ を調べてみるとか、実際の現場をよく研究すれば恐怖心を拭い去ることができるでしょう。
 何も調べないうちから競売をまるでオバケのように恐れるのはナンセンスですよ。

 一方、任意売却も、考えようによってはなかなか良い手段です。
 これについては、また次回以降に解説しましょう。

 ひとくちに住宅ローン対策といっても、このように、いろいろな側面、いろいろな 攻略法があります。パッと思いつくだけで、軽いものから、「借り換え」「遅れながら必死に返す」「リスケジュールで 負担を軽くして返す」「個人再生手続き で他の借金を身軽にして返す」「返すことを諦め、任意売却する」「競売されるのを覚悟で一切返さない(注:返さない一定期間中はその分カネが溜まるし、その間住み続けることもできます)」「潔く自己破産する」・・・など、実に多種多彩な方法があります。

 しかし、どの方法を選択するかは、独断で慌てて決めないほうがいいでしょう。
 高額の資産を守る(あるいは手放す)わけですから、それなりにたっぷりと知識を 蓄えて、しかるべき専門家にも相談をして、じっくり対策を練りましょう。

(メルマガ 2004年11月30日 第85号より抜粋)



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