画像1 東京・JR五反田駅で、無線LANの利用状況を計測。左側は2.4GHz帯の、右側は5GHz帯の利用状況。2.4GHz帯は混み合いすぎて、通信効率が落ちやすい状況にある |
画像2 東京の繁華街にあるカフェで無線LANの利用状況を計測。駅ほどではないが、2.4GHz帯の混雑は大変なものだ。それに対して5GHz帯はまったく使われていない |
無線LANはとても便利です。あっという間に普及したのもその便利さのため。しかしあまりにも急激に広がった結果、最近は駅などで電波が混み合い、つながりにくくなる問題が続発しています。無線LANはどのくらい混み合っているのでしょうか? どうすれば解決できるのでしょうか? 今回は、身近でやっかいな「無線LANの混雑」問題を考えます。(ライター・西田宗千佳)
■無線LANはこんなに混んでいる
無線LAN(通称Wi―Fi)は、ありとあらゆるIT機器に搭載されています。自宅やオフィスで無線LANを使っている人はもちろん多いでしょう。カフェや駅などでは、公衆無線LANサービスを使って、パソコンやタブレット、ゲーム機などをネット接続する人もいるでしょう。こうした機器をどこでも使えるように、いわゆる「モバイルルーター」を持ち歩く人も増えています。
しかし最近、無線LANの接続速度が遅い、またはうまくネットワークにつながらないという声を多く聞くようになりました。
原因ははっきりしています。無線LANが使う「2.4GHz帯」の電波が、かつてないほど混雑しているのです。
無線通信とは、ざっくり説明すると、ある電波の範囲を「道」のように使って情報を送る仕組みです。道路が車線で分かれているように、無線通信も、定められた電波帯の中をいくつかに区切り、その中でいくつもの通信が共存する形で成り立っています。この区切りを俗に「チャンネル」と言います。テレビのチャンネルもここから来た言葉です。通常はそれぞれの通信に使うチャンネルが重ならないよう調整しますが、今の無線LANはその調整もなかなか難しくなってきています。
論より証拠。街なかで計測してきたデータを見ていただきましょう。
画像1は、東京のJR五反田駅で計測した「周囲を飛び交っている無線LAN通信」の量です。画像の左側に注目してください。一つの山が一つの通信を示しているのですが、いったいいくつ通信が行われているのかわからないくらい、とにかく大量の無線LANの電波が飛び交っているのが見て取れるでしょう。チャンネル同士が重ならないどころか、一つのチャンネルの中にたくさんの通信が同居してしまう状況になっています。
画像2は、同様に、東京都内のカフェで計測した結果。駅ほどの量はないのですが、やはり大量の無線LANがあり、チャンネル同士がひどく重なり合っています。
ちなみに、画像3は東京都内のごく普通の住宅地にある筆者宅(マンション)で計測した結果です。こちらはまだ数えられる範囲ではありますが、それでも、近隣の家庭やオフィスで使われているものも含め、相当な数の無線LANがあります。
無線LANは、チャンネルが多少重なっていても、できるだけ通信不能にならないよう、技術的に工夫されています。とはいえ、これほどに無線LANの数が増えると、そうした工夫も追いつきません。
■原因はスマホとモバイルルーターの急増
無線LANの最近の混雑の大きな原因は、スマートフォンとモバイルルーターの増加です。
無線LANが登場して、すでに14年近くが経過していますが、数年前までは、自宅・オフィス・カフェといった決まった場所に無線LANのアクセスポイントがあり、そこにパソコンなどを持って行って使うというやり方が基本でした。無線LANアクセスポイントは、多いところでも数個程度までだったわけです。
ですがスマートフォンとモバイルルーターの登場により、無線LANは「移動しながら使うもの」になっています。その結果、無線LANアクセスポイントの数も急増しました。これが、通信が急に混み合うようになった理由です。
こうした問題は駅だけでなく、人が多く集まるイベント会場などでも問題視されています。
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