賢者の知恵
2013年04月10日(水) 週刊現代

週現スペシャル 大研究 第1部 第2部 どこまで難しい?東大理Ⅲのテスト 東大医学部(理Ⅲ)に合格した人たち 

日本でトップ0・01%の「頭脳」でも彼らは本当に幸せなの?

週刊現代
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 東大医学部合格が意味することは、2つある。日本で最も勉強に秀でていること。そして日本一の権力を持つ医局に入る切符を手に入れたことだ。だがそれは決して、幸福への切符では、ない。

第1部 出身校は灘、開成、桜蔭で4割超
どこまで難しい?東大理Ⅲのテスト

 偏差値79。東京大学の医学部コース・理科Ⅲ類は、日本最難関と言われる東大の6つある科類のなかでもダントツの最難関。それは今年の東大入試の合格最低点を比べれば一目瞭然だ。

 理科Ⅰ類 315・7点
 理科Ⅱ類 302・7点
 理科Ⅲ類 370・4点

 理科Ⅰ類は工学部・理学部コース、理科Ⅱ類は農学部・薬学部コースである。これを見てわかるように、場合によっては、0・1点刻みの勝負になる東大入試において、理Ⅲの合格ラインは、理Ⅱより約70点も上にある。理Ⅲが東大生の中でさえ、住む世界が違う、と言われる所以である。理Ⅲはいわば、日本の大学受験におけるひとつの頂点なのだ。

 東大合格者約3000人のうち、理Ⅲはたった100人程度。日本の1世代あたりの人口を100万人強として単純計算すれば、同世代の上位0・01%の頭脳を持つ英才たちが理Ⅲに集結することになる。彼らはいったいどれほどアタマがいいのだろうか。

 開成高校卒の理Ⅲ現役合格者Aさんは、なんとセンター試験の数学Ⅰ・AとⅡ・Bをともに、制限時間60分のところを30分で解いたという。しかも両方とも100点満点。超人技のように思えるが、彼は「全然自慢するようなことじゃありません」と言う。

「理Ⅲの受験者なら僕なんて平均かそれ以下の学力だと思います。高校の同級生に、『センター数学くらいならすべて暗算で解いたほうが早い』とうそぶいている奴がいて、センター試験終了後に問題用紙を見せてもらったら、本当に途中式も何もなく真っ白なので驚きました。消しゴムの跡も一切なく、ただ答えだけが書き込んであった」

 Aさんは本来3年生が受ける東大模試(東大即応オープン)を2年の冬に飛び級して受け、見事B判定(合格圏内)を勝ち取った。

「意外にいけるんだ、と思いました。理Ⅲを本格的に意識したのはその判定を見てからですね。それまでは理Ⅱ志望でしたから。

 勉強時間は平均すると一日3時間くらいだと思います。東大合格者の平均は6時間らしいですが、僕は集中があまり長く続くタイプではなかったんです。勉強自体は好きではないですし。

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